自転車のながらスマホで通行人を轢き殺した女性 なぜもっと取り締まれないのか? 裁判所で被害者遺族が悲痛な叫び
「にこやかな表情で写っている父の遺影を見ても、まだ父がこの世からいなくなったということが信じられません。86歳と高齢ではありましたが、大きな病気もなく本人はとても元気でした。でも予想もしてなかった事故が起きて…こんな事故がなければ今もみんなで幸せに暮らしてたはずです。不注意で、なんて言葉で軽々しく済まされるなんて納得いきません」
静まり返った法廷の中で、彼女の悲痛な訴えだけが響いていました。
「どんな事情があったか知りませんがあってはならない重大な過失だと思います。被告人を絶対に許せません。…こんな最期ってありえますか!?」
ここ数年間で歩きスマホやながら運転は社会問題になっています。先日の法改正でながら運転に関しては罰則が強化されましたが、それでもこのような事故は絶えることがありません。
「少しくらい大丈夫」
おそらく誰もがそう思ってついやってしまうのでしょう。きっと今回取り上げた被告人もそう考えていたはずです。
しかし、その「少しくらい」で彼女は人の命を奪いました。医師として人の命を救い続け、これからたくさんの人に幸せを与えそして自身も幸せを享受できたはずの人の命が喪われました。もう取り返しはつきません。
被害者遺族の方は、意見陳述でながら運転についても話していました。
「最近は道を歩いていてもスマホを見ながら歩いている人や自転車に乗っている人をよく見かけます。もっと取り締まれないのかと祈るような気持ちでいます」
この祈りは、この社会を生きる私たち全員に向けられたものです。(取材・文◎鈴木孔明)
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