「お金がない…」を理由に犯罪に走る老人の裁判は毎日のように行われている “明日、死ぬかもしれない”という人々に虚しく響く裁きの声
「闇金の人には『お金は貸すけどその代わりに通帳を作ってほしい』と言われました」
彼は闇金業者に言われるがままに近くの信用金庫で通帳を作り闇金業者に渡しました。
「通帳が悪いことに使われるのはわかっていました」
それでも彼には他の手段はありませんでした。お金を借りられるような親戚や友人はいません。生活保護も貰えませんでした。当たり前のことですが、何かを食べなければ人は死にます。彼は食べ物を買うお金すらありませんでした。死はもうそこまで迫っていました。背に腹は変えられないのです。
後の捜査でこのカードはやはり特殊詐欺に使用されていたことが判明しました。それも1件だけではなく複数件の犯行に使われています。
この特殊詐欺事件の関係者が検挙されたかどうかは裁判では明らかにされませんでしたが、彼が警察署で見せられた防犯カメラ映像には「出し子」役の「おばさん」が映っていたそうです。
特殊詐欺の出し子など捕まるリスクの高い役どころをやるのは大抵若い人間でしたが、もう最近ではそうでもなくなってきたのかもしれません。この「おばさん」がどのような経緯で詐欺グループに加担したのかは全くわからないのであくまで想像ですが、彼女もやはりやむにやまれぬ事情を抱えて加担してしまったのではないかと思ってしまいます。