『新型コロナ騒動』と『オウム・サリン事件の相似点』 ワイドショー常連のコメンテーターが今日も分からない専門用語で語る|中川淳一郎

2人が見た番組の情報を共有するとともに「クシティガルバって誰のホーリーネームだったっけ?」などと被害者の辛い気持ちを考えずに芸能ネタ的にオウムの話題を話していた。“尊師”たる麻原彰晃が逮捕される5月までオウム報道は過熱を究め、我々も毎週オウムについて授業開始前は話し続けていた。担当教官が遅れてきたらラッキー! とばかりにオウムについて話していた。

テレビのワイドショーは連日妙な高揚感があった。何度も盛り上がるタイミングはあったが、何度もテレビに出演し、オウムの無実を訴えていた村井秀夫氏が右翼団体構成員に刺殺された時や、上祐史浩氏が番組中、フリップを放り投げてオウム批判を一蹴した時はすさまじかった。

ネットがなくともこの行動は誰もが知ることになり、「上祐ガール」が登場する事態にも。その後も「○○逮捕!」といった報道が出る度に人々は興奮した。ホーリーネームも「アーナンダー」やら「ミラレパ」などを覚えるようになった。

 

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今回のコロナの件にしても、「PCR検査をやれ!」「いや、PCR検査は医療崩壊をもたらす!」「岡田晴恵さんが好き」「ダイヤモンド・プリンセスの隔離状況酷過ぎワロタ」「韓国のドライブスルーPCRすごい!」「頭から袋をかぶって麻雀をする中国人はアホ」「しかもその雀卓をぶっ壊す中国の警官、強い!」「イタリアのウイルス、殺傷能力高過ぎ!」などと、日々新ネタが登場してはネット上で消費され続けている。

オウムの頃は職場や学校でこのネタを消費してはいたずらに好奇心が満たされていたが、令和になってもあまり人間は変わらないな、と思わされた。(文◎中川淳一郎 連載『俺の昭和史』)