「クレージー・ランニング」が生んだ万引きマラソンランナー 原裕美子が苦しんだ過酷な体重制限

原は、高校卒業後の2000年に実業団の京セラに入社する。そして、実業団陸上部における過酷な体重制限の実態を語った。

「一日に4回から6回体重測定があり、監督の前に座らされ、(カロリーを計算された食事にもかかわらず)これは食べちゃダメだ、これは半分残しなさい、などと指導された」

「食べ吐きすれば、そのつらさがすこし和らぐ。食べ吐きをやめたら、また体重管理で怒られると。そういうつらさから逃れるために、どんどん食べ吐きがひどくなって、万引きしてしまった」

実業団の女子陸上部の多くでは、体重管理は日常的に行われ、時にそれは度を過ぎた人権を無視した状況もあるという。

ここで、女子選手と監督の関係を見てみる。独占、嫉妬、気を引く、これらは一般的に女子選手に譬えられる感情表現といわれる。その中で女子選手は、監督に気に入られることを前提にした行為に陥る。
気に入られることは、監督の言われるままに行動することである。そこに疑問を挟む余地はない。監督もそういった女子選手の感情を巧みに利用しつつ、選手同士を競わせ成果を上げようとする。勝利至上主義の中で選手は弄ばれるのだ。高校を卒業したばかりの女子選手に何が出来るというのだろうか。そこには妄信しかない。