コロナ禍で苦境に立つ日本格闘技界 「RIZIN」逆襲なるか 榊原CEOに聞く 「格闘技界は無くなってしまうのか」(前編)

――先ほど「メガイベント」っておっしゃいました。メガイベントっていうと僕らファンとしては「K-1とも共闘するのか」みたいになるわけです。格闘技って国民的スポーツ・競技の相撲や野球と違って、世間的には率直に言ってしまうと、まだ認知されていないジャンルですよね。そこから底上げしていくには、業界全体で協力し合ってこの苦境を盛り上げていかないと、と思うのですが。

「コロナ禍が逆にひとつのきっかけになって、大同団結するようなことは本当にできればいいなという気持ではあるんですけどね。われわれとしては常にウェルカムだし、それはK-1に対してもUFCに対してもONE に対しても、こんなときだから何か一緒に協力してやろうよということは呼びかけて僕もアクションを起こしたんですけどね」

――つまり実際に、K-1など他団体に働きかけてはいるんですか。

「もちろんです。口だけで言っているだけではありません。実際にそれ対してアクションもして、そういうコミュニケーションの機会を持ったり、具体的なやり取りをしたりしているんです」

――アピールだけではなく、「実務として」動いていらっしゃるってことですか。

「そうですね。そうでないと、それこそメガイベントは、歴史に残るようなことにならないと思うんです。RIZINの中だけのスペシャルマッチではなくて、ほかの団体とかプロモーションとの、このときだけの一期一会の大会があってもいいだろうなと思っています。あきらめてはいないです」

――その気持ちは今でも持っていらっしゃると。

「ピンチをチャンスに変えると言われるけど、ライバルで向き合っている団体同士は、こんなタイミングぐらいしか大義名分も持てないですよね。ただRIZIN自体はもともと団体同士の争いのなかに、2015年に後発で出た組織なんで、そういうことで火に油を注ぐのは嫌だから、当初からフェデレーション構想でプラットホームになって各団体が垣根を越えて出てこられるようにしました。

シュートボクシングもRISEもK-1もパンクラスもDEEPも修斗も、団体同士で団体対抗戦っていうと、それもまた大きな座組でどう向き合うかっていうところがあって一足飛びにいかない。なので僕らが中立の第三者として2015年から、格闘技界で必要とされるのはそういう組織だろうということで、その方向性を決めたんですね」

――まさに、構想はプラットホームですね。

「最終的にはサッカーのチャンピオンズリーグみたいな形で、それぞれの組織がそのなかの順位を決めて、その団体のトップの選手が出てきて、みたいな形でトップのなかのトップを決めるような舞台ができるといいんですけどね」

――実現したらそれこそ、格闘技の世間の認知度があがると思います。

「そうです。全部がそのカードにはなってないですけど、カードによってはAという団体とBという団体のチャンピオン同士がRIZINの舞台で戦うということはこれまでもあったし、RIZINのグランプリというのも、プロモーションのなかのトップアスリートたちの対抗戦にしたいんですよ」

 

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