コロナ禍で苦境に立つ日本格闘技界 「RIZIN」逆襲なるか 榊原CEOに聞く 「格闘技界は無くなってしまうのか」(前編)
色気のある選手がいない
――たしかに足りない気がしますね。僕はセルゲイ・ハリトーノフが好きだったんですけど、凄みがありました。
「(うなずきながら)ヴァンダレイ・シウバにしてもそうですね。凄みという点もそうだし、試合のなかで圧倒的な『魅せる力』もありました。今でもUFCなどを観ていると、『この選手いいな』っていう、色気もあるし、オーラのある選手って当然いるんですよ。以前はそういった選手を全部日本に呼んで来られました。僕らは日本にもう一回そういう選手たちに来てもらえるような、それだけの場所としての地場や経済効果をもう一回作り上げたい、という思いはあるんです。でもそこは正直、簡単なことじゃないんですよ」
――「強くて色気のある選手」の参加が難しいということですか?
「端的に言えば、UFCに経済活動の規模で勝たない限り、無理だということです。当初はUFCの牙城を崩すために、RIZINにお金や人を集めるチャレンジをしてみた。でも日本のマーケットだけを軸足というか、ここだけのマーケットが8割9割の売上を占めるということでは難しいんだろうなって早いタイミングで気づいたわけです。
もちろん海外のポテンシャルのある未知なる強豪を呼んで、その限られた人材のなかから自分たちでオリジナルで磨くということはやっています。ただ外国人の選手たちをPRIDEとかK-1の時代のように呼んできて、単純にヘビー級の選手のどつき合いとか戦いを見せても、いまのファンの人たちにはそこまで届かなかったんですよね。
それは2015年にスタートしたときもそうだったし、2016年に入っても、今はここじゃないんだなっていう。日本で熱を入れるには、当然日本人選手が活躍することだし、2016年にも試行錯誤を繰り返していました。例えばミルコ・クロコップが制した無差別級GPは盛り上がったんだけど、でも社会現象になるようなものとか、K-1の頃、PRIDEの頃に匹敵するようなものに一足飛びにはならなかったんですよ。それは残念ながら、ミルコだからですよ」
――ちょっとローカル感があったんですかね。
「PRIDEの時代に活躍した選手が、10何年ぶりにまたベルトを巻くっていうのはドラマチックではあるけども、未来とか新しさとか希望にはつながらなかった。と、いうところで堀口恭司を獲得するんですよ」
<後編に続く>(文◎久田将義 写真◎©RIZIN FF)
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