「那須川天心vs武尊戦は実現させなければいけない」 RIZIN榊原CEOに聞いた コロナ禍で苦境に立つ格闘技を盛り上げるには(後編)
※こちらの記事はコロナ禍で苦境に立つ日本格闘技界 「RIZIN」逆襲なるか 榊原CEOに聞く 「格闘技界は無くなってしまうのか」からの続きです。
前編では、日本格闘技界の頂点のRIZINがコロナ禍で苦境に立たされながらも、何とか道を切り開く努力をしているという事を榊原信行CEOに伺いました。それでは、この苦境下で格闘技界は何をすべきなのか。榊原CEOのインタビューを引き続き掲載していきます。
堀口恭司参戦の意味の大きさ 「桜庭和志を彷彿させた」
――堀口選手の参戦で一気にRIZINの流れが変わった気がします。
「世界と戦える選手ですし、階級は当時フライ級ではあったけども、世界中から戦いを挑んで来られても、向き合えるファイターですね。PRIDEの時代の桜庭和志をイメージしていた部分もあったんですけどね。
髙田延彦で始まったPRIDEを大きく飛躍させたのは、世界を向こうに回してスカッとするような勝ち方をし続けた桜庭という、彼のキャラクターとイマジネーションがその時代のファンの心をつかんだわけじゃないですか。恭司に桜庭の魅力がすべてあるという事ではないけど、逆に桜庭が持っていない魅力を持っている。だったら堀口恭司を口説いて、日本の格闘技を盛り上げるために戻ってきてほしいっていう交渉をしたのが2016年の2月ぐらいからなんです」
――そこからRIZINっていうのは、よりファンに浸透したと思うんですけどね。
「そうですね。僕らの方向性を変えた、その象徴が堀口恭司。でも軽い階級で実力測定の場にすることが僕らの終点ではなく、本当に僕らが届けたいのは、格闘技の魅力とか堀口恭司の魅力をわかった人の、『その先』に届けたいんですよね」
――格闘技を知らない人に届けるということですか?
「そうです。野球とかサッカーに興味がある人たちにも支持されなければメジャースポーツになっていかないわけだから。格闘技村に住んでいる人たちに届けることももちろん重要です。そこが地熱を作るわけですから。でも地熱だけでは、ビッグバンは起こせない。
コアファンたちをないがしろにするんじゃなくて、その人たちが観たいものを実現させていくためには外側の人たちに興味を持ってもらい、渦を大きくしない限りは、いつまで経ってもコナー・マクレガーとかメイウェザーは海の向こうで、世界中の全然違う団体で戦う選手で、遠い存在でしかありえないわけだから。僕らの目標としてはそういうところに置いてありますから」
――夢がありますよね。
「何年かの計画で考えたときに、まずは堀口恭司に軸になってもらい日本の人たちが熱狂するようにする。日本というマーケットは、言っても世界で二番目に大きなスポーツマーケットだと思っているんで。ただアメリカが10とすると日本は1ぐらい。それでも日本のマーケットを僕らがベースとして持てれば、アメリカのビッグプロモーションと戦うことはできるかな、と」