「那須川天心vs武尊戦は実現させなければいけない」 RIZIN榊原CEOに聞いた コロナ禍で苦境に立つ格闘技を盛り上げるには(後編)

「オリンピアの参戦と国立競技場開催を狙っていく」

――近々の試合というのは8月の9日、10日ですか?

「そうですね。もっと前にいろんなことも考えながら準備や企画をしていたんですが、結果リスタートとして旗を立てるのは8月の9日、10日にぴあアリーナさんで。ぴあアリーナさんも今年満を持して4月にオープンするはずだった最新のアリーナなんです」

――盛り上がって欲しいですね。リスタートを切るRIZINにとってこんな選手が必要だとか、いまこの選手がいいよね、みたいなのはありますか?

「ポイントは東京オリンピックですね。柔道やレスリングのトップアスリートが、総合格闘技に転向してくること、もっと言えばメダルをひっさげて転向してくれるようなことが実現できれば、RIZINがもう一歩上のステージに上がることができるチャンスかなと思います」

――つまり、オリンピア達ですか。

「そうです。実際そういうところの選手たちとは水面下で交渉はしていますから。ただできればオリンピックを今年やって、爆発的に国民のヒーローになった選手が電撃的にRIZIN参戦するっていうのが理想だったですけどね」

――それは楽しみですけど、来年もオリンピックやりそうもないですからね。

「うーん。厳しいでしょうね。ある人が日本のオリンピックは2032年だって言ってましたよ。パリに行ってアメリカ行ってそのあとですよ。大陸ごとの開催の順番の問題もあるんで、ヨーロッパ行ってアメリカ行ってアジアに戻ってくるっていうところで」

――コロナ禍で言えばブラジルの選手とかアメリカの選手は出国は難しいと思いますね。

「自国での予選ができないじゃないですか。秋から始めないと、来年の夏にその国の代表選手として選ばれた人が来るっていう選考会ができないですから。そこは早くハッキリ言ったほうがいいですよ、往生際が悪いことしてないで。国立競技場も有明に作った施設もほかの形で使うっていうことに割り切っていかないと」

――世界の雰囲気から、それどころじゃないという感じですもんね。

「オリンピックにかぎらず、次の年の世界陸上にしても各競技の世界選手権も難しいんじゃないですか」

――ワクチンが開発されないかぎり無理だと思いますね。

「無理ですよね。逆にそれであればオリンピックに出るはずだったアスリートが、オリンピックもないしプロの世界に行こうっていう選手が早く出てきてくれるといいなと思っています」

――そうかもしれませんね。それであれば、RIZINにオリンピアが出るという感じでいいかもしれません。

「そうですね。人生一度きりのタイミングがあったとして、東京オリンピックという自国開催なんて、「どれだけ俺たち運がよかったんだ」というのができなくなったわけでから。だったらプロのリングで世界を向こうに回して戦ってくれたらいいな、と思っています」

――つまり、オリンピックの代わりにはならないにしろ、それに近いような大会にしたいという事でしょうか。