【徹底解説】東京オリンピック開催で再び暗躍か? アパホテルが12億も騙し取られた詐欺『地面師』の実態【後編】
大切な土地を守るためには、定期確認が有効
次に地面師に土地を乗っ取られるのを防ぐ法。地面師は土地所有者が現にそこに居住していたり、近所に住んでいる土地は絶対に狙いません。騙された買主が「早く土地を明け渡してくれ」と言ってきて、すぐに犯行がバレるためです。
そこで、土地所有者が遠方居住の高齢者である土地、相続が発生したのに相続登記をせず故人名義になっている一等地が狙われるのです。
地面師の被害に遭っても早く気付けば、すなわちその土地が次々に転売され、建物が建てられたりする前なら裁判も比較的簡単で済み、傷は浅くて済みます。よって、こういう土地をお持ちの方は、年に1回は登記事項証明書を取ってみることです。
現在、法務局はオンライン化され、地元の法務局でも1筆700円で簡単に取ることが出来ます。登記事項証明書により所有名義人が変わっていないか、身に覚えがない抵当権の設定などがないかを確認するのです。いわば、”土地の定期検診”を年1回行うわけです。これにより固定資産税通知書が届かなくなって「変だな…」と思う前に発見できることも多いです。
不動産業界に伝わる格言に「不動産に掘り出し物なし」というのがあります。あまりに条件が良すぎる話に飛びついて慎重な事前確認を省略したりしない。『地面師』から身を守るコツは、実はそんな当たり前のところにあるものなのです。(取材・文◎駒場文一)