「帰るわけにはいかない…」 外国人技能実習生が日本で稼げなくなったら“やること” これが『先進国』の姿なのだろうか

彼が犯した罪は何なのだろう…?

中国人の張浩然(仮名、裁判当時26歳)が来日したのは平成27年11月のことでした。大阪府にある水産加工会社で技能実習生として働くためです。在留期限は平成30年の11月まででした。

「日本人の社長が中国に来て『自分の会社に来れば仕事がある。稼げる』と話していました。それを聞いて日本に行こうと思いました」

こうして彼は数名の中国人とともに来日しました。

会社の寮で暮らしながら日本での生活が始まりましたが、それは以前に聞いていた話と違うものでした。

「仕事があまりなくて…残業もなかったのでほとんどお金を稼ぐことはできませんでした」

彼が日本に来た時点で、会社の経営はかなり危ないものになっていたようです。

そして平成29年12月、この会社は倒産しました。受け入れ先企業がなくなれば技能実習生たちは日本にいる資格を失います。

「実習生は全員、ただちに帰国するように」

そう宣告されました。

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彼はお金を稼ぐために日本に来ました。

貧しい家に生まれ育った彼に学歴はありません。帰国しても仕事に就けるかどうかわかりません。貧困の中で厳しい生活を強いられている両親と姉のためにも、彼はお金を稼がなければいけなかったのです。

突然「帰れ」と言われて帰れるはずがありません。

実習生として共に働いていた同僚たちにもそれぞれ帰れない理由がありました。

結局、この寮で生活していた実習生のうちの半数近くが失踪しました。