夫を「GoToゾンビ」に変えたキャンペーンが許せない! 無理やり家族旅行させられた北海道で見た衝撃の光景|春山有子
「経済を回す? そんなことは知らん。俺はなにがなんでも自分が損をしたくないだけだ。ホリエモンみたいな金持ちばかり得をしているこの世の中が許せないんだよ!」
と歪んだ顔で悪態をつきながら、GoTo情報をくまなくチェックする毎日なのです。
彼の1日は、ランチでGoToイート利用できる飲食店を予約することから始まります。
「あーー! なんで居酒屋系しか出てこないんだよ! まあいいか、クソ。妥協してここを予約して……あーー! 予約できないじゃないか! なんだよ検索しやすくしろよクソが!」
朝から荒れた声がリビングに響き渡ります。さらに恐ろしいのは、土日です。
「おい、今日は何が食べたいんだ」
張り詰めた声にビクッとしつつ振り向くと、夫が正気をなくした目で筆者を見つめるのです。
「な、なんでもいい……」
「なんでもいいとか言ってると、予約枠がなくなっちまうんだよーー! ここから選びやがれクソがーー!」
「ひいいい!」
そうして妥協して選んだ初めての飲食店に行くと、
「実質タダだから」
と言いながらボコボコ生ビールを注文しまくる夫。会計時、実質タダからはかけ離れた請求額を見ないふりするように、
「こんなにポイント貯まっちゃったあ。まーたタダでご飯が食べられちゃうなあ。延々と。がはは!」
と赤ら顔の上機嫌に言ったかと思えば、
「おいおい、ちょっと待てよ、チャージ700円!? 聞いてないよこんなの! ちくしょう! 損した! クソ! クソ!」
と、帰宅途中に立つ電信柱を蹴りまくるのです。