『映画秘宝』はなぜ失敗したのか 権威化した人々がやるべき事|久田将義
『映画秘宝』(洋泉社→双葉社)はヤンチャな雑誌という事で売り出したはず。『キネマ旬報』などの老舗映画誌が評価する映画ではなく「俺たちが面白いと思った映画はこれだ」というコンセプトで発刊したのが『映画秘宝』だと捉えています。宝島社発行の『このミステリーがすごい』も同様。既存の受賞作品に対して、「こっちで独自で面白いミステリーを選んでしまおう」というテイストが『このミステリーがすごい』が出た当時の、僕の印象です。権威に逆らう。これが『映画秘宝』や『このミステリー』の原点だったと思います。
が、時を経るごとに逆に、これらは「権威」になっていった。これは致し方ないものです。気づいたら「このミス大賞」という当初は「賞」など関係ないところにあったはずの雑誌なのに、ミステリー界ではかなりの権威を持つようになりました。
『このミステリーがすごい』が権威になっていったと同じように、『映画秘宝』も権威になっていったと思われます。メディアの末席を汚すものから、この騒動・事件の論考をしてみます。
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