謎の未解決事件 「板橋区資産家放火殺人事件」現場を歩く 犯人は日中混成犯罪集団か
殺人現場には、明らかに土地勘がある人間が犯行に及んだのであろうと、推測される事件があります。冒頭の未解決事件の中では、僕が現場に行った事件で言うと世田谷一家殺人事件、上智大生殺人事件。
前者は祖師ヶ谷大蔵駅からタクシーで現場に行こうとした運転手が迷ってしまったほどでした。世田谷区の豪徳寺や祖師ヶ谷大蔵付近などは農道をそのまま道に使ったせいか、あるいは世田谷城という吉良家の城があったため、敵に攻め込まれないように複雑にした名残か、とにかく迷路のような道が続きます。
上智大生殺人事件は葛飾区柴又駅から徒歩で現場まで歩いてみたのですが、いわゆる同じような家々が立ち並ぶ住宅街で一回や二回、下見したくらいではとても現場には行けないでしょう。従って、土地勘のある人間の犯行では推測できるのですが、板橋区の事件はナビで場所を入れなくても一発で現場に着く事ができました。犯人たち(『板橋資産家殺人事件の真相』に沿う)にとってみればそういう意味では「やりやすい」現場だったのかも知れません。事件から10年以上経ちます。本書を読み、現場に行くと一層、思いが強くなりました。すなわち一体、「誰がやった」のか―ー。(文・久田将義)