茨城一家殺傷 岡庭容疑者が「無罪」となる可能性は小さくない…捜査で欠けている2つの要素

茨城県・境町で2019年9月に小林光則さん(当時48歳)と妻の美和さん(当時50歳)が刃物で殺害され、長男と次女が負傷した事件で、茨城県警が5月7日に埼玉県三郷市在住の無職・岡庭由征(26歳)を殺人などの疑いで逮捕してから10日が過ぎた。

この間、岡庭容疑者が高校中退後の2011年、ふたりの少女に刃物で襲い掛かり、重傷を負わせる「通り魔事件」で逮捕されながら、少年法の壁により刑事罰を免れていた事実などが明らかになった。

こうした経歴に、今回の事件に関する状況証拠を合わせて眺めると、境町での殺傷事件は岡庭容疑者の犯行で「決まり」のようにも見えるかもしれない。

しかし実のところ、捜査や取材の現場では「起訴しても、このままでは無罪判決の可能性もある、との緊張が漂っているのが現実」(週刊誌記者)なのだ。なぜか。犯行が岡庭容疑者によるものであることを説明する、2つの重要な要素が欠けているためだ。

事件は「室内」で起きていた

境町の殺傷事件を巡り、県警はどのような証拠を確保しているのか。これまでの報道で明らかになった内容を見てみよう。