出所していたリーダー格の男…未解決「板橋資産家殺人放火事件」の真犯人を追う|李策

しかも、原田が板橋事件の実行犯として指摘した面々の多くは、別件で逮捕・拘束されている状態だった。そしてその中には、捜査本部がリーダー格と見た倉田憲治(同)もいた。中国黒竜江省の生まれながら日本国籍を持つ倉田は、日中混成の強盗団を束ねてきた犯罪のプロである。

しかし結果的に、捜査本部は彼らをこの事件で逮捕することはできなかった。なぜか。

最大の原因は、現場が燃やされてしまったために、指紋やDNAなどの物的証拠の採取が不可能だったことだ。これらが残っていたならば、警察が彼らの犯行を立証するのは容易かったかも知れない。

そう考えると、敢えて殺人と放火を強行した強盗団リーダー・倉田の犯罪者としてのスキルは、並外れていると言えるかも知れない。

事情通によると、別件で逮捕・収監されていた倉田は一昨年、刑期を終えて出所し、巷を闊歩しているという。(取材・文◎李策)