もう1人のフィリピンの英雄 ボクシングWBC世界戦ドネアが見せた閃光と「アジア人差別反対」

写真はイメージです。

30日、日本時間約13時。ボクシングWBCバンタム級王座戦が行われました。挑戦者「フィリピーノフラッシュ」ノニト・ドネアとフランスの無敗の王者ノルティーノ・ウバリーリの一戦。その闘いの模様と、ドネアのファイトスタイルが相変わらず素晴らしかったので一ボクシングファンとして一筆書かせて頂きます。

タイトルに「もう一人の英雄」とついてあるのはもちろん、「パックマン」マニー・パッキャオがいるからですが、ドネアも敗けていません。元5階級王者です。WBSSで「怪物」井上尚弥選手に負けたのが約1年8カ月前。対するチャンピオンのウバーリは井上選手の弟井上拓真選手に勝っています。ドネアの得意はいわずと知れた、「フィリピ―ノフラッシュ」と言われた閃光のような見えない、左のフック。

選手入場。いつものように穏やかなドネア。とても試合前とは思えません。またドネアのインタビューは常にジェントルで相手選手へのリスペクトを忘れません。日本でも人気が出るのが分かります。対するウバーリは、井上尚弥との試合を熱望。かつて井上チャンピオンに負けたドネア選手。井上選手の弟に勝ったウバーリ王者。因縁を感じさせます。

ドネアは入場の際、Tシャツを着ていました。

「STOP ASIAN HATE」(アジア人差別を止めよう)と書かれていました。

これに気づいた人は何人いたでしょう。

ドネア選手は強く、人格者だけでなく、お茶目な面もあります。YouTubeにまだ掲載されていると良いのですが、フロイド・メイウェザーの真似をしたり、キックボクシングのミドルキックをやって見せたり、人を笑わせるのも好きなようです。近年、コロナ禍でアメリカでは中国人とおぼしき女性がマスクをしていたら暴行を受けたりした動画が拡散。黒人差別もありますが、アジア人差別も実は深刻な問題です。ドネアのメッセージがこの世界戦で発揮するとは思っていませんでした。

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