石原慎太郎が沖ノ鳥島上陸で見せた余裕の無さ 「岩じゃない!小さい島なんだよ」記者に怒りをぶつけた元都知事のパフォーマンス 

慎太郎氏のこのときの余裕のなさはずっと引っかかっていた。
彼の死後、手に取った『石原慎太郎を読んでみた』(栗原裕一郎,豊崎由美著)の一節にその行動のヒントがあった。豊﨑由美さんは同書で次のとおり記している。

「慎太郎って「行為」を描く時は文章が自信満々で溌剌としてるんだけど、「心理」を描く段になると、自信がないのか、途端にクリシェや通俗に頼るようになる。毎回必ずといっていいほどダメ出ししている「〜であろうか」文体が顔を出すのも、心理を描こうとしている部分なんです」

自信家で行動力がある一方、気が小さくて自信がない。記者に痛いところを突かれて冷静さを失って激高、失言をしてしまったのは、こうした性格ゆえではないか。忙しない瞬きも、自信のなさとそれによる極度の緊張のせいだったのだろう。
それだけ繊細な心の持ち主ならば、世の中の弱くて貧しい人たちに寄り添い、彼らを救う発言をしたり、行動をしたりすることが出来たはずだ。

そう思ってしまうのだが、彼はそうはしなかった。それはそれで人々の注目を集め続けることだけに心血を注いだ、ある意味、潔い人生を貫き通した、と言えるだろう。個人的には尊敬し恩人だと思っているが、注目を集めるために人々を傷つけ続けた人でもあった。良くも悪くも、印象に残る、とてつもなく存在感の大きな人だった。黙祷。(文@西牟田靖 写真@東京都)

ボクがなぜこれをRTしたのか『石原慎太郎の貴乃花擁護ツイート』|揉めたのは…『吉田豪のせいだっ!』論 連載第二回 | TABLO