アイドルの「セカンドキャリア」を考える 「IDOL3.0  PROJECT」に参画する元AKB48島田晴香の提言

 

●「今でもAKBが大好きですね」(島田晴香)

 

――計画を立てることが大切なんですね。

島田さん そうですね。そこで目標が達成されなかった場合、なぜダメだったのかを考えたり。それは芸能から社会人になっても中身が変わるだけで外側は一緒だと思うんですよ。

――僕はもともとアイドルに興味なかったんですけど、12年くらい前、AKBのコンサート(劇場も)に行ったとき、女の子が「まゆゆー!」(渡辺麻友。元AKB48)と声援をしているのを見て、「なるほど。こういう子たちに夢を与える存在なんだな、現場に行かないと分からないな」と思いました。卒業されて、島田さんにとって、アイドルってどういう存在になりました?

島田さん 今でもAKBが大好きですね。最新の曲も聴くし、「選抜どうなったんだろう」って気になります。芸能界って売れる人もいれば売れない人もいる過酷な世界だと思うんですけど、「売れなかったから自分がダメだった」というわけではないと思うんですよ。「あながたもっと輝く世界があるかもしれない」し、それは「あなたの知らない世界かもしれない」から、その世界を見せてあげたり、選択肢を広げてあげる事も必要だと思います。

――島田さんは、卒業は2年ぐらい前から考え始めたんですよね。

島田さん 芸能だけの世界を見て終わるのでなく、もっと外の世界を見てみたいと思いました。私の場合は恵まれていて、両親が自営業(旅館)をやっていて兄がサラリーマンをやってるので、外に目を向けやすい環境でしたし。
そこで自分が好きなことってなんだろうと思ったら、やっぱりスポーツ。特にテニスが好きですし、AKBに入ったときもスポーツキャスターみたいなことをやりたいと思っていたんですけど、元プロの方々がいらっしゃるので、私は何で勝負できるんだろうと考えると、テニスを全く知らない層を取り込むことはできるかもしれないって考えたんですね。
すると、もはや「表に出る職業じゃなくてもいいかも」って考え始めました。そのときにスポーツの世界でどういう職業があるんだろうと思って調べていたら、スポーツマネジメントっていう仕事があることを知りました。AKBのときもマネージャーみたいな動きしていてたってよく言われるんですけど(笑)。

アイドルのセカンドキャリアを考える。画期的な試みだと思う。

――チーム4時代、MCの大場美奈さん(元AKBチーム4キャプテン)にマイクを差し出したシーンを覚えています。

島田さん 自分は「人が何を求めているかを瞬時に察知する能力に長けてるな」って思ったときに「マネージャーがいいかも」と思っていたら、スポーツマネジメントにたどり着いて調べていくうちに入りたい会社があったんです。その会社とお話しさせてもらって「入社するためには何が必要条件なのか」って聞いたら、海外の選手と話すから英語は必須って言われました。私は猪突猛進タイプなので「じゃあ私は24歳でAKBをやめて来年からロンドンに1年留学して語学の勉強してきます」って言って芸能をやめたのが12月末で、1月の中旬に飛んだんですね、2週間も経たず(笑)。

――行動が早い!

島田さん で、向こうでホームステイしたりシェアハウスしたり、すっごい楽しかったんです。

――普通の女性として普通の家に、ですか(驚)。

島田さん そうです。そこでまだ自分は25歳で、これから色んなこと経験していけるんだって純粋に思えたんですね。そのなかでテニス選手とも仲良かったので海外の試合とか観に行ったりました。スポーツ選手ってけっこうセカンドキャリアについて考えているんですよね。今日ケガしたら明日からテニスできなくなっちゃうかもしれない。
そのときにアイドルのセカンドキャリアの現状はどうなってるんだろうっていうところにたどり着いたんです。それで起業したいなっていう思いもあったんですけど、社会経験が全くなかったので、まずは社会に出て1回揉まれてみようと思って就職して。そのなかで自分が出来なかったことを、今あるプログラムに落とし込んでアイドルの子たちに当ててるっていう形なんです。

――運営さんとかに相談はされたんですか?

島田さん 起業するとき、運営さんに「AKBの子たちのセカンドキャリアってどうなってるんですか?」っていう相談をしました。「そこは救ってあげなきゃいけないところだよね」って。お世話になっている方に司法書士や弁護士を紹介して頂いて、社会人2年目ぐらいでコロナ禍になったんですけど、その途中で「登記だけしちゃえ」と思って2020年5月に登記して、まだ社員はいなくて一人でやっています。

――立派な「一国一城の主」ですよ。

島田さん 社長ですけどひとりで全部やってるので、経理もやるし(笑)。

――因みに、僕のラグビー部の後輩が広告代理店なんですけど、「7人制ラグビー」を担当していて当時、盛り上がっていなかった(※今はオリンピック種目)から「先輩、何とかお知恵を」と言われたので、運営さんに「スポーツ好きの島田さんをアンバサダーみたいにいかがですか?」みたいな話をしたことがありました。もうすぐラグビーW杯なので応援して頂きたいですねー。

島田さん ホントですか? 嬉しい。ありがとうございます(笑)。もちろん企画とかPRで入ることも可能だとは思います。スポーツマネジメントの方にはいかないと思うんですけど、逆にスポーツ選手のセカンドキャリアはいまのビジネスを拡大していくうえで考えている一つではありますね。

――乃木坂46の公式ライバルの「僕が見たかった青空」はもうすぐデビューで、「IDOL3.0」も大きくなっていけば、アイドルのセカンドキャリアについては社会学の教授とかジャーナリストとかの協力なんかもいいのかなと、今パッと思いついただけなんですけど、どう思いますか?

島田さん いま、新規事業を立ち上げています。今回は一般向けなんですけど、そっちはキャリア教育だったりなので、そこでは著名人の方とか文化人とか、あとは心理カウンセラーとかファイナンシャルプランナーとか、そういう人の話を聞く機会も設計には入ってます。

――精力的です。すごいですね。個人的な興味でお伺いするのですが、島田さんはAKBで一番好きな曲って何ですか?