消えない民主党の内憂、元首相が現首相を提訴の謎

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 菅直人元首相が16日午前、安倍晋三首相を名誉棄損で東京地裁に訴えた。安倍氏が2011年5月20日号のメルマガ「菅総理の海水注入指示はでっち上げ」を配信したことが、事実に反するとするという主張だ。菅氏は安倍氏に対して当該メルマガのバックナンバーを削除し、別途謝罪記事を2年間以上掲載することを求めると同時に、慰謝料と弁護士費用など1400万円余りを求めている。

 

 なぜ参院選のまっ最中に提訴なのか。その理由を菅氏は記者会見でこう述べた。

「今回の参院選からネット解禁された。安倍氏のメルマガはネットを通して国民へ配信されている。悪い影響があることをかんがみた」

 

 だがそれなら、もっと早く提訴すべきではなかったか。菅氏が「権利侵害」を受けた時からすでに2年以上を経過しており、その間にも提訴は可能だったはずだ。

 またよくわからないのが、この訴訟がいきなり16日の午前に決断されたようなふしがあることだ。菅氏はこの日の午後、九州に参院選の応援に行くことになっていた。その直前の午後2時に記者会見は設定されたわけだが、その告知が行われたのは正午ごろで、非常に慌ただしい。

 

 しかも訴訟に際して、事前に安倍氏に内容証明などが送達されていない。これについて菅氏は「私のブログで何度も指摘した。それで十分伝わっているはずだと思う」と主張したが、安倍氏は現在まで何の反応も示していない。認識しているのかどうかすらもわからない。

 

 菅氏は6月に離党した鳩山氏と共に、民主党を作ったオリジナメンバーだ。初代の共同代表でもあり、民主党政権で首相も務めた。その意味では自民党政権である安倍首相にはむかうことは理解できる。

 

 だが今回はそれが仇になっているようだ。昨年の衆院選で落選した民主党のある前議員は、積もる鬱憤をぶちまけた。

「鳩も菅ももうたくさん。せっかく我々が一生懸命に有権者の信頼を得ようと活動をしているのに、しゃしゃり出てきてあっという間に潰してしまう。あの2人、いっそ死んじゃえばいいのに!」

 出口の見えない政党によどむ怨念は、果てしなく暗く深い。

Written by 安積明子

Photo by Salvatore Vuono

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