なぜテレ東の女子アナは小池百合子時代から他局と違うのか その謎は採用制度にあった!|テレビ東京1964〜2018
フジ、日テレ、TBS、テレ朝と、女性アナウンサーの歴史を調査してきました。そして、今回はラストとなるテレビ東京がテーマです(関連リンクは下記に)。
かつて「振り向けばテレビ東京」と揶揄されていたように、同局は在京キー局の最後発であり、民放5局のなかで〝最弱〟というポジションでした。しかし、現在は〝テレ東クオリティ〟と呼ばれる独自性を発揮して、ほかのキー局とは一線を画すテレビ局へと成長しています。そんな個性派の同局で活躍してきた女性アナウンサーたちも独特な個性派がそろっています。
まず、テレビ東京の前身である東京12チャンネルが開局したのは1964年。科学技術学園工業高等学校(現科学技術学園高等学校)の通信制授業を放送することを目的としてスタートしました。
そして同年、テレ東は2人の女性アナウンサーを採用しています。それが中部日本放送(CBC)の宮崎絢子アナと関西テレビの佐野真由美アナで、両者とも地方局からの移籍者となります。
宮崎アナは夕方のニュースワイド番組『メガTONニュースTODAY』を始め、さまざまな報道・情報、経済番組を担当。女性キャスターの草分けでもあり、後年はプロデューサーとしても活動した才媛で、1998年に同局を定年退職しています。
佐野アナはテレ東が開局したときの第一声を担当。キリリとした品のあるルックスが好評で、『奥さまキッチンノート』や皇室番組などに出演していました。
しかし、彼女たち以降の1960~70年代にかけて、同局の女性アナウンサーの採用はほとんど見られず(71年入社の川島真理子アナくらい)、あまりめだつ存在は登場しません。そんな状況が変わるのは1980年代の後半に入ってからとなります。
まず、1987年に茅原ますみアナが報道局の記者として入社。『TXNニュースワイド11』や『ニュースブレイク』などの報道キャスターとして活躍しました。ちなみに茅原アナはフジの笠井信輔アナの奥様としても知られていますね。翌88年にはNHK仙台から赤間裕子アナが移籍してきて、『スポーツTODAY』を始めとするスポーツ番組をメインに担当しました。
そして、1988年には小池百合子アナが『ワールドビジネスサテライト』の初代キャスターに就任します。小池アナは同局の正式採用者ではなく、専属の「パーソナリティ」という扱いでしたが(局アナ業務も担当)、上品かつ知的なイメージで〝局の顔〟といえるほどの人気を獲得しました。
この小池アナがテレ東におけるタレント的な人気を集めた女性アナウンサーの第一号でしょう。実際、1990年代以降のテレ東では「知的で清楚なキャスター」という、政財界のおっさんが好きそうなタイプの女性アナウンサーがめだつようになっていきます。
その一方、小池アナとは対照的に、気さくな人柄で人気を集めたのが1989年入社の大平雅美アナです。NHK高松から移籍した彼女は91年から『ほのぼのワイド』という情報番組を担当。番組内の料理コーナー「嫁と姑の面白クッキング」では、姑役の大山のぶ代と軽妙なトークを繰り広げ、お茶の間の人気者になりました。
他局がアナドルブームに沸く1990年代。テレビ東京は前述した「アナウンサーの本道」ともいえるキャスタータイプの女性アナウンサーが数多く登場します。
まず、91年入社の田口惠美子アナと槇徳子アナはともに『WBS』のメインキャスターを担当しています。92年には現在の『ニュースモーニングサテライト』でメインキャスターを務める佐々木明子アナが入社しました。その後も、黒田多加恵アナ(94年入社)、末武里佳子アナ(98年入社)、塩田真弓アナ(99年入社)と清楚系のルックスで注目されることになる女性アナが続いていきます。
それとは別に、清楚系というベースは守りながらも、バラエティ向きの気さくでほっとするキャラクターのアナウンサーもちらほらと登場。例えば、93年入社の八塩圭子アナは『出没!アド街ック天国』で故・愛川欽也さんとの名コンビでお茶の間の人気者になりました。ほかにも『おはコロシアム』などのアニメ番組を担当した吉野文アナ(91年入社)、『クイズ赤恥青恥』のMCとして活躍した家森幸子アナ(96年入社)などもバラエティ番組で注目を集めています。
そして2000年代に入ると、テレビ東京は大江麻理子アナ(01年入社)、大橋未歩アナ(02年入社)というタイプの異なる2人の大器を獲得しました。この両名は00年代におけるテレ東の〝顔〟と呼ばれるまでに成長し、現在の同局女性アナウンサーのひな形となった逸材です。
まず、これまでの同局女性アナウンサーの典型ともいえる、清楚かつ知的なキャスタータイプ路線の継承者と言えるのが大江アナです。先輩の八塩アナと同じく、ニュース・経済番組を担当しながら、『出没!アド街ック天国』や『モヤモヤさまぁ~ず2』というバラエティ番組で注目されています。
当時、露悪的なまでに個性を主張するアナドルが多いなか、大江アナはつねに一歩下がるような「脇役」という姿勢を見せました。その控え目な姿が視聴者たちに大好評となり、瞬く間に局の看板アナウンサーとなります。その後の2014年には『WBS』のメインキャスターという大役に抜擢され、報道局に部署を移して現在も第一線で活躍しています。
一方、同局におけるタレント的なアナウンサーの代表格といえるのが大橋アナ。02年の新人時代に担当した『激生!スポーツTODAY』で、豊満なバストを机上に乗せながらあいさつするシーンが雑誌やネットに取り上げられ、「巨乳アナ」の代名詞と呼べるほどの知名度を獲得しました。
また、『やりすぎコージー』や『アリケン』、『極嬢ヂカラ』などの過激なバラエティ番組も数多く担当。「(夫婦の性生活に)バックは必要です」や「(エッチについて)ダンナに『今日、どう?』って聞く」など、女子アナらしからぬプライベート発言も果敢にこなし、他局のアナドルに負けない存在感を見せつけました。
そして大橋アナの台頭以降、「巨乳」を強調するカメラアングルやセクハラ的な演出はテレ東アナのスタンダードに。05年入社の亀井京子アナ、08年入社の相内優香アナ、11年入社の鷲見玲奈アナなど、女子アナとは思えないセクハラ的な演出によって男性視聴者を楽しませてくれました。
ちなみに、亀井アナが人気AV女優から「正しいバナナの食べ方」を教えられ、それを実演したときに「テレ東ってすげえ!」と感動したことが印象深い思い出です。
また、彼女たちのほかにも、モーニング娘。からアナウンサーに転身した紺野あさ美アナ(11年入社)や『モヤさま』で芸人レベルのキャラクターで人気を集めた狩野恵里アナ(09年入社)など、意外性のある女性アナウンサーを次々と輩出。2016年からは中途採用制度をスタートさせて、福田典子アナ(16年入社・元RKB毎日放送)や竹﨑由佳アナ(17年入社・元関西テレビ)など、キー局としては異例ともいえる地方局からの移籍も推進しています。
ほかのキー局ができないことをやるというポリシーを貫き続けてきたテレビ東京。オーソドックスなアナドルが飽きられている今、同局のアナウンサーが天下を取る日がやってくるかもしれません。(文◎百園雷太[女子アナ・ウォッチャー])
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