今回は「1回戦負けしろおじさん」について考えてみたい。 滋賀県議会の吉田清一県議が、春のセンバツに出場した滋賀学園の送迎バスに怒鳴ったという話題。いまこうして書いていてもアホらしい。事の発端は3月16日に県庁でおこなわれた滋賀学園の激励会の日。吉田県議はそのとき同校の送迎バスの駐車の仕方に激怒し、「お前らなんか1回戦負けしろ」と言ったとされる。
吉田県議は後日記者会見を開き、次のように主張した。
《バスの運転者か引率者が「許可を取った」と言ったが、吉田県議は「駐車禁止の場所だ」と主張したという。会見では「『そんなことでは1回戦で負けるぞ』と確かに言ったが、球児に向かって言っていない。負けろ、という気持ちはなかった。勝ち負けより、ルールを守ってほしい(との思いだった)」と釈明した。》(朝日新聞・3月31日)
「お前らなんか1回戦負けしろ」と言ったのか「そんなことでは1回戦で負けるぞ」と言ったのかは、この際私はどっちでもいい。問題はそこではない。今回の話を聞いてイヤ~な気持ちになったのは、瞬間的にイラッとしたのであろう吉田県議の姿が容易に想像できたからである。「誰のことわりがあってここに止めてるんだ」「俺の敷地で何をしてるんだ」という前提の、エラそうなおっさんの姿が。
その姿が想像できれば「そんなことでは1回戦で負けるぞ」と諭したように言ったとしても「無駄にエラそう」という根底は変わらないではないか。
もうひとつ重要なことを言うと「地方にはこういうおっさんがまだまだ張り切って生息している」という「あ~あ。」という気分である。私は地方出身だからリアルに感じた。
最近、野放図な地方議員が報告される。一昨年の都議会ヤジ問題が大きな転機になったと思う。あのあと号泣県議(元兵庫県議の野々村竜太郎被告)が注目されたけど、都議会ヤジの火照りがまだあったから衝撃も大きかった。都議会→号泣県議の流れでゾッとしたのは「世間が知らないだけで、地方議会にはゴキゲンに生息してる人がいる」という驚きと脱力感であった。
で、今回の「1回戦負けしろおじさん」である。大スキャンダルではないし、これをきっかけに辞職を求められるのは行き過ぎだ。そこまでの話ではない。でも、そこまでの話ではない日常の生態が垣間見れたからこそ、軽い絶望感があるとも言える。
全国津々浦々、今日もどこかで「俺の顔をつぶした」とか「俺を誰だと思ってるんだ」と威張り散らして悦に入るおじさん(もしくはおばさん)がいるんだろうなぁ。厄介だ。あ、「巫女のくせにおじさん」や「精神鑑定を受けたほうがいいんじゃないか野次おじさん」の話をする時間がなくなってしまった。とにかくゾロゾロいます。
Written by プチ鹿島
Photo by DX Broadrec
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