紗栄子がママの顔 ってオイ、なんだよ「ママの顔」って! 母親になったからって顔まで決め付けてくる世間|春山有子

「派手」「露出度が高い服」「自分のことが優先」「子どもを一番に考えていない」「キャラクターグッズを持っている」「責任を背負ってなさそう」「肩掛けカバンを持っている」

など、独自の“ママ”像を浮かべる男性の狭量さがうかがえます。カバンくらい肩にかけさせてくれよ。

しかしこれは2016年の話。2018年2月には、絵本作家のぶみさん作詞の「あたしおかあさんだから」が大炎上を巻き起こしたことを考えると、世間は着実に変化しているといえます。

しかし一方で、そうした炎上を経てもなお世間は、紗栄子さんに“母の顔”“ママの顔”を強いてくるではないですか。

インターネットで「お母さんの顔とは」と検索すると、同じように疑問を持つ女性の質問にたどり着きます。いわく、「出産後、『お母さんの顔になったね』と言われるけれど、それってどんな顔? 嬉しい一方で、産後の寝不足や育児疲れからくるやつれた顔を表現しているのではないか?」と心配しているご様子。

それに回答者たちは、「人として丸くなった」「優しい表情になった」「計算のない笑顔」「表情筋が柔らかく慈愛に満ちた顔」「包容力が増した顔」「幸せそうで輝いている顔」と答えていますが、“母の顔”とはすなわちえぐいほどの聖母感が押し付けられている、ということでしょうか。

こうなったらもう、抜き打ち利きママ選手権の開催して、「ママの顔してる」と得意げに言ってくる人たちの前にズラリと女性を並べ、「この人は…二の腕がむっちりして柔らかそうだからママ!」「う〜ん…ネイルしてるからママじゃない!」「計算高そうな表情をしているので独身ですね」「なんか不幸そうで輝いていない顔だから独身」「金髪? もってのほかでママじゃないでしょ」と、その能力を発揮してもらいたいものです。(文◎春山有子)

※タイトル画像は『Saeko One&only 「私は私」。ルールに縛られない、おしゃれな生き方』より

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