ドヤで結核に感染、ホームレスになり万引き 裁判で男が語った文学的第二の人生が興味深い

どうせ死ぬのなら好きな本を

「犯行当時は自暴自棄になってました。もう死にたい、死のうと思っていました。そう思っていましたが自分は本を読むのが好きなので、本屋を見かけてつい入ってしまいました。そこで本を見ているうちに欲しくなってきました。どうせ死ぬのなら好きな本を読んでから死のう、そう思いました」

彼は私大の文学部出身でした。

ショルダーバッグ内に商品のコミック本を20冊入れ、精算を済ませることなく店外へと出ていきましたが、犯行の一部始終を防犯カメラで見ていた店長らによって取り押さえられ現行犯逮捕となりました。文学部出身ならコミックでなく活字の本を読みたがりそうな気もしますが

「文学は最期にはふさわしくない」

という、理解できるようなできないような理由でコミックを狙ったそうです。20冊の合計で11,010円、犯行時の彼の所持金は598円でした。

彼は大学を卒業後、いくつもの出版社を渡り歩き、その後はタクシー運転手として働いていました。しかし運転手の仕事も辞めてしまい、生活保護を受給しながら山谷の簡易宿泊所で生活をするようになりました。

いかにも文学部出身にいそうな、不器用な人間特有の神経質そうな経歴の持ち主です。当然ドヤでの生活など耐えられるはずもありませんでした。

「ドヤでは隣の住人や管理人が勝手に自分の部屋に入ってきたり物をねだってきたり…その無神経さに我慢ができませんでした」

ドヤでは結核に感染し、不眠症にもなってしまいました。彼は後先考えず飛び出し、ホームレスになりました。そしてたちまち行き詰まり、自殺を考えるほど自暴自棄になって犯行に至ってしまったのです。

参考記事:「女性が嫌がるとは考えられない」 匂いを嗅ぎ、精液をかけ続けた男・調理師専門学校生30歳の言い訳とは | TABLO