漢を見せた! K―1から皇治が違約金を払って参戦 魔裟斗が切り開いた道 天心VS武尊戦の実現への一歩か

K-1ファン=格闘技ファンではない

「K-1ファンと格闘技ファンはイコールじゃないんですよ。格闘技ファンはK-1も観るんですよ。K-1も観るしRISEやRIZINなど他団体も観るんですけど、K-1ファンはK-1しか観ない人もいるんです。特に若いK-1の固定ファンみたいな人はそういう傾向が多いようです」

――そういう傾向があるんですか。

「K-1というジャンルのファンなので、K-1の誰々選手が好きとかなんですよね。K-1が目指してるところは、ある意味そこなんです。そういう人がどんどん増えていけば良い訳です」

――さっき言った辰吉vs薬師寺戦みたいな何十年経っても語り継がれたり、いま観ても震えるような試合となると、先日インタビューしたRIZIN榊原さんは「武尊vs天心だよね」と言ってましたけど、実現はないですかね?

「私はないと思います」

――天心選手はやりたがってますよね。

「天心はそんなにやりたいという気はないんじゃないですか。やりたかったらやってあげるぐらいの感じで(笑)」

――武尊選手はどうなんですかね。

「武尊は絶対やりたいでしょう。試合後のマイクで言ってますし、世間的な評価も完全に天心選手のほうが上ですし。メイウェザーともやって世界的に名前も売れてますしね」

――やるとなったら違約金払ってK-1から出ちゃうしかないんですかね。

「今のK-1の体制だとそうだと思いますね。ただ私は武尊はK-1から出る気はないと思います。武尊はあくまで『K-1の武尊』としてやりたいと思うんですよ」

――それはなぜですか?

「K-1に愛情もあるしプライドもあると思いますし、恩義も感じているでしょう。それに『天心がちゃんと手続きを踏んでK-1と契約してくれたらやります』って昔からインタビューで言っていますし」

――自分からは行かないっていうことですね。

「彼は行く気がないでしょう」

――格闘技の歴史から言って、日本人対決って盛り上がるわけじゃないですか。

「実現したら武尊vs天心戦は間違いなく盛り上がりますよね」

――そうすると、運営と選手の思惑はファンと相反するものになっちゃっている気がするんですけど。

 

武尊選手はK-1から出る気がないならマイクアピールも何も言わない方が良いのでは

「そうですね。K-1の運営が離さないでしょうし」

――どうなんですかね、ファンとしてはモヤモヤするんですけど、選手としてはしょうがないんですかね。

「逆に、天心がK-1と契約すれば現状できると思うんですよ。独占契約になりますが。ただ、天心はそこまでしてやりたいかというと、やりたいわけではないと思います。天心はもちろんですけどRISEにもRIZINにもなんのメリットもありませんし」

――地上波でも放送もないですかね。

「天心はそのままRIZINでフジテレビに出られますし」

――地上波の影響は大きいと思うんですよね。

「だから、K-1に出るメリットが天心にないんですよ。」

――ないですね。大晦日にフジテレビの生放送のほうがいいですよね。でもそうなると、格闘技界がつまらなくならないですか?

「もうひとつ現状でやれるとしたら、武尊がK-1を飛び出すか。違約金を払うなり、たぶん訴訟沙汰になると思うんで、そこまでしてもやるか。もっと言うと今まで自分が育ててもらったと思っているK-1に泥かけて出られるかっていうと、たぶん武尊はK-1とケンカする気はないと思います。武尊はあくまでもK-1の武尊としてやりたいっていうところで、じゃあどうなるかというとK-1側が特別に1試合契約を認めるとかするしかないでしょうね」

――ただ、武尊選手は過去にRIZINに上がってますよね。

「そうですね。あの頃はK-1選手何人か出てましたね。まだ天心が出てなくて、会場で武尊に声かけて、やりたいみたいなことを言って」

――リングで武尊選手が天心戦をにおわすマイクが何回かありました。どう捉えていますか?

「私は、(K-1から)出る気がなければ何も言わないほうがいいと思います。今のK-1の運営を見る限り。『天心とやりたい』とか『動いている』とか、ホントに動いているかどうかは具体的な動きが出るまでは言わないほうがいい。具体的にOKってK-1サイドが言うまでは言わないほうがいいんじゃないかなと思います」

――武尊選手から「今、実現に向けて動いています」みたいな事をリングで言われるとファンは期待しますよね。

「そうなんですよね。期待するし、言ってるのか言わされてるのかわからないですけど、言ってまた揉めることもあるじゃないですか。一般社会の仕事だって決定してから、リリースするじゃないですか」

――K-1を築き上げて来たレジェンドファイターはリング外でも身体を張ってきたのではないでしょうか。

「魔裟斗にしろ佐藤嘉洋にしろ、自分を貫いて出たわけですよ。それで時代を作ってきた。彼らにはその覚悟があった。佐藤は全日本キックをいきなり出てしまって、当初は裏切ったみたいな感じになった。所属ジムの会長も裏切った、という雰囲気になっていたんですけど、それでも自分が出たいっていうことで自分を信じてやって、それで最後はちゃんと和解しています」