『水道橋博士×町山智浩 がメッタ斬りトーク』 週刊文春が掲載を諦めた「禁断の対談」を公開!(1)

石原慎太郎さんに「藝人春秋2」を読ませたい

博士:『藝人春秋2』は5年ぶりの新作になるんですが、2013年から2014年にかけて『週刊文春』に1年間50回連載したものを、3年かけて上下巻の本として出版しました。自分で言うのもナンですが、膨大な作業を経て、今日、製本としては、ようやく出来あがったので、それはもう、今、感慨深いです。
上下巻が同時に出るっていうのは、出版界のルールとしてエッセイ本だとまずないことなんです。普通は営業戦略的には上・下の出版の時期をずらすんです。でも、上巻だけだと書評が書き難いという理由で上下巻同時発売をボクが文春側を説得したんです。だから、今日、来てるお客さん、読者には、読んだら、是非書評を書いて欲しい。皆さん読んだあと書評を書いて、書評を響かせることが、本が売れていくことだと思っているんで。
俺が芸人として持っている集客力って、こうやってライブでお客さんを集めるのは何百が限界だと思っているんですよ。しかも自分が持っている固定読者って5000くらいだと思っているんです。でも、この本、上下巻、初版が1万5000×2だから、俺の中で3万人の観客の前でいきなりステージをやらなきゃいけないっていう。
それは僕にとってはプレッシャーだけど、読者にお届けするっていうのは、小さな書評のさざ波が集まって大きくなって対岸まで届くんだっていう気持ちがあるんで。
今日が、本が生まれた初日ですけど、時間をかけても届かせたいと思っていますよ。

――本のなかでは大物に切り込んでいますが(司会者)

博士:今回、一番、本を書くモチベーションとして大きいのは、下巻に登場する石原慎太郎さんが既に高齢なので、生きてるうちにこの本を見せたいっていうのがあるんですよ。
結局、『はかせのはなし』(KADOKAWA)という東京都広報に慎太郎知事からの依頼で書いた文章の本で、対談をお願いしたけど断られたって経緯もあるので、「死人に口なし」で向こうに反論できないことをやりたくないんです。正々堂々とペンを剣にして挑みたい。もう毎日、「頼むから石原慎太郎よ、まだ死なないでくれ!」って思いながら書きました。今一度、読んだ、感想をいただきたいと思っています。

――大物の方に迫る、切り込む心構えは?

博士:この本は、町山さんの影響下で書かれているというか、スペシャルサンクスに入れてますよ、いとうせいこうさんと共にね。
お笑いの役目、仕事を考えると、権力とお笑いは、偉そうなのとお笑いは、「王様と道化」の関係なんだっていうのは、ボクがたけし軍団の初期の頃は全く知らなかったし、わからなかった。ノンポリだったので想像もしていなかった。
でも、町山さんのラジオや著作の活動を通して、あ、そういうことのためにお笑い芸人はいるんだっていうのが分かったから。そこを反映している本です。
だから、威張っていたり、強い人、権力者は、からかう、足元をすくう、笑い飛ばす。だって、あなたは「王様」だもん。俺、「道化」だから。しかし、「笑わせる」、その技術と職能はせめて認めてくれよ! っていう本です。うーん。でもこの例えも、今、分かりにくくなってますね。

町山:今、足元通る(橋下徹)とか余計なこと言いそうになりましたよ。その話はしますよ、これからね。

博士:いいですか? 皆さん、今日は、サブカルのモンゴル会ですよ。「もう町山の時代は終わったんだよー!」(博士が手を振り上げると、町山がマイクで殴りかかとうとする)

町山:これ、大島渚と野坂昭如でしょ。それもお互い古いなあ~。もう誰も元が分かんないよ。

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(一度、ふたりが退出――。
博士が007の衣装と拳銃を持ち、007のテーマ曲で再び登場)