『水道橋博士×町山智浩 がメッタ斬りトーク』 週刊文春が掲載を諦めた「禁断の対談」を公開!(1)
町山:(会場へ向かって)三又又三って知ってる? あっ結構いるんだ。すごいですね。
博士:知名度はありますよ。ジョーダンズってコンビで売れていたことはあるし、最近、松本人志さん関連でニュースになった。松本人志さんから借金したんです。で、その借金を踏み倒したって言うのが記事になったりして。この本でも書いてありますけど、前作でも登場しているのに、この『藝人春秋2』でも、たっぷり三章、三又だけに、又がって(笑)出て来る。
町山:ものすごく面白かったですよ。この三又又三の章は。
博士:一作目も高田文夫先生が三又又三の章が一番面白いって言われたけど、町山さんが読み終えた時に、一番面白かったのは、やはり三又又三って言われたときの、俺のショックたるや(笑)。
町山:博士の文章って、とにかくすっごい凝ってるんですよ。1行ごとに仕掛けが入っているんですね。でもその仕掛けが全部分かる人って誰もいなくて。俺も分かりませんでしたから。
博士:「俺も分からないっていう」のは、町山さんの本を読んで、町山さんのためだけに入れている引用がものすごいあるんですよ。
例えば、寺門ジモンさんの章で、武井壮との戦いを実況しながら、唐突に「何があったの? ジモンさん!」とボクが声を出すところ。あれは町山さんだけに向けたんだけど……。
町山:公民権運動に貢献した黒人女性シンガーの二ーナ・シモンのドキュメンタリーでしょ。「What Happened, Miss Simone?」って、わかんないよ!
博士:いや、町山さんの新書『映画と本の意外な関係』(集英社インターナショナル)に、そのタイトルの章があるから(笑)。昨日、お会いした時、そういうのを全部、答え合わせしたら、ことごとく「いや分からない」って。
町山:いや分からなかった。凝り過ぎだよね。それなのに業界用語でいう「ベタ」な三又又三の話のほうが笑えるって言ったから、博士はショック受けるよ。
博士:大きなところを言えば、町山さんの有料音声メルマガ『映画ムダ話』のチャップリンの『ライムライト』は強く影響を受けて、文章に反映しています。特にエピローグを書くために何度聞いたことか。
町山:そうなの。わからなかった(笑)
博士:喜劇人の持つ、宿命みたいなものへの覚悟ですけどね。(この後、どんどん続く)
(2017年11月30日〈文春トークライブ 第20回〉
町山智浩×水道橋博士『言霊USA』vs.『藝人春秋』より)