やしきたかじん曰く「お前(博士)は芸人の目じゃない!」 『水道橋博士×町山智浩 がメッタ斬りトーク』(終)

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町山:たけしさんが昔からずっと言い続けていたのは、「森繁になるな!」ってこと。森繁久彌さんは昔は、スケベな社長役しかやってなかったのに、いつの間にか晩年は人の道を問う人になってて、愛とは、とか、人とは、って言い出すのは、おかしいじゃないか、って。それで、たけしさん、森繁さんがいるとこに出かけて行って、かぶりもので無理に絡んでお笑いテロをしかけてた、何回も何回も。

博士:そうそう。日本アカデミー賞でね。森繁批判を本人の前でやって。「何時まで生きているんだ、順番を守れ森繁!」って。すごいよ。

町山:あなた昔、下品なギャグやってた人じゃない。なんでこんなところで持ち上げられて、えらそうに上から目線でもの言ってんだって。森繁さんを引きずりおろしたかったんだね。たけしさん、すごくはっきりと、自分は上がった分降りるって決めてるから、バカな格好するじゃないですか。それって多分、自分を外側から見る視点があるんだよね。タモリさんなんかもある。

博士:ある。ある。もちろん、さんまさんにもある。

町山:ある人とない人で差がつくんですよ。なくなっちゃうと、「100m12秒4」とか言っちゃう。

博士:「屋根の上のバイオリン弾き」なんて威張ってちゃだめなんですよ。死んでるのか、生きているのかわかんない、「雲の上のバイオリン弾き」くらい行かないと(笑)。俺たちもそういう漫才やってた。そういう感覚じゃないと。神格化されて地上に降りてくるような、何で芸人が名優になるんだ! って。そういう批判精神でしたよ。たけしさんは。

町山:鶴瓶さんなんかもね。映画とかテレビとかでいい人、いい人、いい人って思われると、チンコ出すでしょ。「みんな忘れるな! 俺はこういう奴だぞー」って。あれって正気を保つためだと思うよ。

博士:チンコを人前で出せる人か出せない人かっていう芸論を、談志師匠がずっとやってるのを知ってます?

町山:いや知らない。

博士:出せるやつはすごいって言って、あいつは出せないこいつは出せるって言って。
小朝は出せない、たけしは出せる、鶴瓶も出せる、とか、具体的にあるんですよ。で、たけしさんと共演した時は、談志師匠は、いつも出していましたね。

町山:それ、キンタマをゴムで引っぱんなくてもいいんだよね? ビューーーンって。それは痛いから勘弁してくれって問題だけど。

博士:俺は本当にチンコを出せる人だって自分では思ってるから。むしろ、芸人なのに人前で洋服を着ているのが恥ずかしいくらいで。

町山:だから俺を本番中に脱がしたんだ。

博士:そう。さっきのMXテレビのコメディ特集の最後に、散々、喜劇論を言って、で、共演していた、高橋ヨシキさんが、「じゃあ、そう言う自分が脱げよ!」って。

町山:生放送なんだけど、ヨシキが、「博士、町山さん脱いで脱いで!」って。

博士:最後のワンカットで脱ぐの。

町山:あれディレクター介入しなかったからね、あの時ね。

博士:そう。最後、ふたりがフルチンで終わるっていう。

町山:全く介入しないんだディレクターが。何にも言わないっていう。俺と博士だけで決めて勝手に脱いで、スタッフが何も口出さない。どういう番組なんだあれ一体。

博士:あれも、もう、なかったことになってる。結構な事故なんだけど。リリーフランキーが『いいとも』に連れてきたラブドールも、これ本に詳細に書いてるけど、全くなかったことになってる。