やしきたかじん曰く「お前(博士)は芸人の目じゃない!」 『水道橋博士×町山智浩 がメッタ斬りトーク』(終)

町山:ずっと続くんですか? 「男の星座」づくりは、今後も。

博士:連載は続いているし、読み返してて、まだ書ける、まだ書けると思って。3作目をもう出したいんだけど、周囲から、ちょっと落ち着いてくださいって。

町山:思ったのは、博士がこういうことできるのは、この中でも書いたけど、もう自分は「あの世」にいるんだっていう意識で書いているからじゃない? 芸能界っていうのは、普通の人には体験できない「あの世」なんだって書いてる。たけしさんの弟子として認められたときに、もう自分の人生の目的は達成したから、あとは余生なんだって。

博士:「あの世」と「この世」のキーワードとテーマは、それは1作目のまえがきから続いてて。「この世の物とも思えぬあの世コーナー」ってたけしのANNから引用してる。

町山:自分が芸能界にいることに対して絶えず疑いを持ってる。「俺、此処にいていいのかな?」みたいな。

博士:今、あの世かな、この世かな、みたいな。感覚は抜けない。

町山:そう。それを、やしきたかじんさんに見抜かれてて、「お前は芸人の目じゃない、記者の目だ、観察者の目だ!」って。観察者だと思うよ。そこが面白い。他の芸人さんと決定的に違うのは、全然芸能界に染まってない。一般人の常識で芸能界を見ている。

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博士:それを、やしきたかじんが、『研ナオコとたかじんのシャベリタリーノ』って東京の番組で、テリー伊藤さんがゲストに出てて、ボクのことを言った瞬間、偶然見ていたんだけど、それまで会ったことなかったのに、その時、自分が見抜かれたっていう感覚は忘れられないね。

町山:スパイだと見抜かれてる。

博士:もう、たかじんはボクの正体は分かってるっていう。

町山:ジェームス・ボンドみたいに会った瞬間「ジェームス・ボンドです」って言わない人だからねえ。だから、やしきたかじんさんすごいって思ったもん。

博士:あの人も元々記者体質だからね。新聞部出身、学生時代は新聞記者志望だったんだからね。元々。だからジャーナリスティックなお笑いをやってて。だけど右傾化していたっていうのは、それはAさんの……。

町山:Aさんね。最初の方に出てきた話だからみんな忘れてるかもしれない。やしきたかじんの番組のプロデューサーで、「虎ノ門ニュース」とか「ニュース女子」の仕掛人。

博士:名前言えないけど……是非、訴えて下さい(笑)。そして、その後、ノーサイドになって、仲直りが出来たら、たかじんさんの話をゆっくり話しましょうよ。

町山:色んな現代の政治に対する提言も含んだ博士の男の星座の旅は続くということで、みなさんどうもありがとうございました。

博士 ありがとうございました。(終|文中敬称略)

(2017年11月30日〈文春トークライブ 第20回〉
町山智浩×水道橋博士『言霊USA』vs.『藝人春秋』より)