「フィンセン文書」 世界的なマネロン疑惑に『みずほ』『三菱UFJ』銀の名前も ほとんど報道されない日本にどんな忖度が――

米国財務省のマネロン疑惑に世界的な反響

日本時間の2020年9月21日午前2時、米国で財務省の金融犯罪取締局が、金融機関などから「マネーロンダリングなど疑わしい取引」の通報をまとめた内部文書、いわゆる「フィンセン文書」を、米国のバズフィードニュースが入手、これをICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合:International Consortium of Investigative Journalists)が分析を進めていたという報道が一斉に始まりました。

この報道は日本でも各メディアが一斉に報じており、アメリカでは金融機関の信頼が揺らぎ嫌気がさしたためとして、NYダウが一時940ドル安の急落をするほどの反響となっています。

このICIJの分析に、日本からは共同通信と朝日新聞が分析や取材を進めていました。朝日新聞は、このフィンセン文書には約40の日本の企業、個人の取引が含まれている事を伝えています。

以下は、その朝日新聞の報道です。


朝日新聞DIGITAL)世界の大手銀行使ってマネロンか フィンセン文書を調査(2020年9月21日)

https://www.asahi.com/articles/ASN9N7DKGN9HUHBI02R.html

「世界各地での麻薬犯罪や汚職などに絡む資金洗浄(マネーロンダリング=マネロン)を示唆する米政府の内部文書を米バズフィードニュースが入手し、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が分析、調査した。世界有数の金融機関が、犯罪行為による資金の出どころを隠すため送金するマネロンに利用されている可能性が浮かび上がった。

『疑わしい取引』は、1999年から2017年までで、総額約2兆ドル(現在の円換算で約209兆円)にのぼる。これほど大規模に資金の流れが明らかになるのは初めてだ。政治家や犯罪者らが違法な資金を世界の主要金融機関の口座を使ってペーパー会社に送金するなどしていた可能性が示された。

『フィンセン文書』は、トランプ大統領が勝利した16年の米大統領選にロシアが介入したとされる「ロシア疑惑」の捜査の過程で、米議会や捜査を指揮したマラー特別検察官(当時)が米財務省に求めた電子ファイルの一部。そのなかに、ロシア疑惑とは関係のない疑わしい取引情報も大量に含まれていた」(朝日新聞より)

 

このように世界的に注目が集まる米国財務省の「フィンセン文書」。

この「フィンセン文書」の中で、日本の記録はどのようなものなのでしょうか。ICIJの資料を元に、日本の「疑わしい取引」について入出金を行った銀行名で集計すると、以下の通りとなっています。

米財務省資料「フィンセン文書」記載
「疑わしい取引」の銀行別集計(日本)
(ICIJ資料を基に集計 表作成:PJA NEWS)

入出金回数が19回と最も多く、送金額が合計約516万USドルに達するゆうちょ銀(Japan Post Bank Co)、送金額合計が約1,287万USドルと最も多い事が印象的なのがみずほコーポレート銀(Mizuho Corporate Bank)、入出金回数が13回、送金額が約987万USドルといずれも一定の規模がある東京三菱UFJ銀(The Bank of Tokyo-Mitsubishi UJF, Ltd)などが目立っています。

これらはいずれも「疑わしい取引」に使われた銀行であり、実態の解明は、日本でも当局の調査が求められそうです。

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