連載3回目:プチ鹿島の世相コラム「余計な下世話!」~山本太郎はなぜ再浮上できたのか~

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 日刊ナックルズでも山本太郎が大注目されている。

「激戦の東京選挙区で大穴、山本太郎が当選できた理由」という分析記事や「某公的機関で秘かに囁かれていた山本太郎と「ある組織」の関係」など、どれも詳しくておもしろい。

(※詳細はコチラ→某公的機関で秘かに囁かれていた山本太郎と「ある組織」の関係

 実は私は山本太郎をトークライブに招いている。2011年の11月だ。

 すでにその頃「反原発の旗手」として話題だったが、私からすれば山本太郎と言えば「元気が出るテレビ」でビートたけしをゲラゲラ笑わせた圧倒的なタレント性の人であり、役者としても強烈な華がある超芸能人。

 だから裏テーマは「あの山本太郎は健在なのか?お笑いの話をしてもまだノッてくれるのか?」だった。原発だけを語る普通のシンポジウムにするつもりはなかった。

 もうひとりのゲストは久田将義。久田さんは当時福島取材の真っ最中だったので3・11最前線のトークもお願いできるし芸能の話もスペシャリスト。山本太郎を迎えうつには最適の人だと考えた。

 久田さんは早々に酔っ払い、「山本さんの映画デビュー作『代打教師 秋葉、真剣です!』は最高です!」と何度も言って山本太郎に絡みだすという理想の展開に。

「山本太郎がいるのに大爆笑が起きる会場」という、当時の世情では考えられない狙い通りの雰囲気となった。

 山本太郎も原発の話は少ししかさせてもらえないのに楽しそうだった。入場曲を「メロリンQ」にしたのだが嫌がるかと思ったがノリノリだった。

 終了後の楽屋での「山本太郎はもうイッちゃってる人かと思ったけど人懐っこかったなぁ」という、どう考えても自身がいちばん人懐っこさを爆発させていた久田さんの言葉が印象的だった。

 私も「実際に会うとイメージを変えさすのは昭和の政治家みたいですね」と感想を述べた。

 あくまで昭和から活躍している芸能人のすごさを言ったのだけど、今回の参院選では実はその「まるで昭和の政治家みたい」が山本太郎の当選要因のひとつではないか?

「ネット選挙を活用」とか「反原発のブレない訴え」とか、そっちの要因が大きいのはわかるが、各政党の有名人候補がコマ不足と言われた今回「実際に会ってみたら笑顔がよかった」的なベタな選挙を堂々とできたのは山本太郎ではなかったか。あれだけ政策を主張しながらマンパワーのほうが勝ってしまったとも言えまいか。

 投票した側を分析してみよう。東京都選挙区の「候補者の区市町村別確定票」を見ると興味深い。

 結果は「4位」で当選だった山本太郎は地域によっておもしろい差があるのだ。2位の区がいくつかある。無所属新顔の候補としては異例の健闘区である。2位の区は「世田谷区」「渋谷区」「目黒区」「杉並区」だ。

 逆にギリギリで5位の区もある。「江東区」「葛飾区」「大田区」「品川区」だ。

 この結果は何を意味するのか。もう、大まかに言ってしまいます。

 山本太郎は「東京に憧れて出てきた田舎者が多い区で人気を集めたが、もともと東京に住んでる下町のおじさん・おばさんが多い区では苦戦した」のだ。

 田舎出身者は「実際に会ってみたらいい人そうだった」は大好物である。キャーキャーしてしまう。それを苦い目で眺めている下町のおじさん・おばさん。政策や思想や組織論を一切抜きに投票者分析をしてみるとこうなる。

 ちなみに個人的に注目していたのはマック赤坂の得票数。前回2010年の参院選は7599票だったが今回は1万2228票。伸びている!
得票率で言うと前回は0.1%だったが今回は0.2%。つまり倍である。

 はたして、マック赤坂がドクター中松を追い抜く日は来るのか?エンタメ候補界の「世代交代」も見ものである。

 以上、今週の余計な下世話でした。

Written by プチ鹿島

Photo by 母ちゃんごめん普通に生きられなくて/ぴあ

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