「東京一危険な男」に狙われた! 「彼」は迷惑系の走りだった あの時代YouTubeがあったら……|久田将義

写真はイメージです。

迷惑系という言葉が出てきてからしばらく経ちます。

僕が編集者になって駆け出しだったころ、ある男に接触しました。彼は恐らくYouTuberになっていたら、迷惑系になっていたのだろうなと思っています。「東京一危険な男」と雑誌に書かれるほどの人物です。

以前、拙著『トラブルなう』(大洋図書)でタイトルのような記事を書きましたが、当時の方が記憶がはっきりしていて、まあまあ詳細が書かれています。

当時、彼が作家萩野アンナさんの母上を脅迫したとして逮捕されたことがありました。読売新聞では、以下のように報道されました。

《「●●●●には気をつけろ! 目印は女みたいな声と独特なルックスだ」──。雑誌「クイックジャパン19号」(1998年5月・太田出版)には、強烈な見出しが躍っている。同誌によると当時からK容疑者は「役者としてオレを使え」などしつこい売り込みで、業界内では〝超〟のつく有名人だったという。

K容疑者の過激な自己アピールの実態は、「いきなり電話で『会ってくれ』って言われて、断ったら『僕に会うチャンスを逃す気か!』って逆ギレされた」(映画監督)など各界関係者が証言している。

当時のK容疑者の肩書は、自称ライターではなく役者志望。プロフィールや自己PRなどによると「年齢・性別不詳。不気味でキュートなキャラクター」で人気バラエティー番組にも出演。劇団〝猫ニャー〟では、舞台の上で踏んだ弁当を食べる壮絶な役を身長155センチ、体重78キロの体をフルに使って演じていたという。

事務所に所属していた時期もあったが、仕事が少なく「ストレスが爆発して、自分で動こうと思って辞めた」とK容疑者は同誌のインタビューに答えている。

自分で仕事を取ろうと各方面に電話をかけまくっていたというK容疑者。インターネット上ではその「被害者」が集う掲示板もある。山手署の調べでは、K容疑者は昨年12月21日夜、横浜市内の荻野さん宅に電話し、応対した母親に「アンナの携帯電話番号を教えろ。教えなければ命がないぞ」と脅迫した疑い。K容疑者は2年前、東京都内でアンナさんと面会し「自分の原稿を見てほしい」と話したことがあったと供述している。

K容疑者と同居していた両親によると、K容疑者は7、8年前から深夜に自室から熱心に電話をかけ「言い分が食い違っているのか、トラブルなのか、大きな声を出し、激しい口調で話していたことがあった」という。また最近、執筆や芸能活動をしている様子は「全くなかった」という。読売新聞2006/01/13(記事では実名)》

このような記事を書かれたK。僕は、そのかなり前に、ある人の紹介で彼とライターとして、20年以上前の話で恐縮ですが会う事になりました。まず、待ち合わせで遅刻約三十分。これは百歩譲ってしょうがないとしましょう。当時Kは二十歳くらいでそんなに社会経験もないと思ったからです。

風貌は漫画『ドラゴンボールZ』に「魔人ブウ」というキャラクターに顔は似ています。そして首が隠れるくらいの髪の長さ。身長150㎝と少し、体重80㎏くらい。新聞記事にあった通りです。声は女の子のように、あるいは子供のように高いです。

一瞬太った女の子が会社に来たかと思いました。そして遅刻の詫びも言わず、編集部に来るやいなや、かん高い声で「あのーっ、久田さんって人いますかあっ」と、叫びます。ぎょっとする編集部内の女の子たち。僕も声ですぐわかりましたが、一種奇妙な外見にちょっとびっくりしながら、あわてて「はいはい」という感じでKの所へ挨拶に行きます。

参考記事:凸撃系ユーチューバーが生配信中に拉致か 映像が乱れたあと「車に乗せろ!」の声 | TABLO