日本唯一の刺青専門資料館に行ってみて思う「りゅうちぇるのタトゥー」問題|Mr.tsubaking
少しのすえた匂いが鼻をつきます。パチパチっと男性が館内の電気をつけてくださいましたが、展示を見るための博物館のような照明ではなく、茫洋とした倉庫のそれによって展示品が照らされます。
まず、入り口で迎えてくれるのがこちら。
いかつい表情ながら、その奥に潜む子供のような愛らしさ。しかし、さらに見ていくとその愛らしさに隠れてズル賢さのまで感じられます。仏像ファンならば、一目でこれが籔内佐斗司作品であることに気がつくでしょう。そうでなくとも「せんとくんの作者」と言えばお分りいただけるかと思います。
全身に紋々の施されたキティちゃんを眺めてすすむと、ヴィレッジヴァンガードかと思うほどに、大量の展示品がギチギチに詰まっているのが見えます。
こちらは中国製の人形。
中国における刺青の歴史は紀元前の呉越時代。およそ3100年ほど前の文献に、呉の国王が顔に刺青を施した記録が残っています。これは、中国南部に暮らした海民の「鯨面」という風習を真似たもので、国王が故郷である北部へは帰らないという決意を表したものでした。
その後中国では、刑罰の一つとして刺青が使われるようになり、それが儒教とともに日本へやってきて、大宝律令や養老律令にも大きな影響を与えました。
りゅうちぇるを批判する人の一部に通底する「刺青=悪」という思考のルーツはこの辺りにもあることがわかります。