総合格闘家・平本蓮選手ロングインタビュー 「人に優しく生きようと思っている」 新生K—1の申し子から「格闘技の申し子」へ

去年の試合が終わったあと、自分は何がしたいんだろうって考えたんですよ。大晦日の敗戦の傷や痛みはあるわけじゃないですか。でもそれに対して、僕は立ち向かってきたと思うんですよ。俺は絶対逃げないですし。今後、負けることがあろうが折れることはないし。去年の痛みのおかげで1年ホントにやってやるって思いにさせてくれたというか。
だからめっちゃ楽しくやってこられたんですよ。あそこで勝っちゃっていたらこういう感情にはならなかったと思います。そう思わせてくれたデビュー戦でした。戦いは続いてると思うし、自分の次の勝負で見せればいいだけなので。自分は何がしたいんだと思ったときに、人間関係もだいぶ整理したんですよ。

――わかります。人間関係の断捨離みたいな感じですよね。

平本選手 そうです。断捨離みたいな感じで「こいつは付き合う、付き合わない」みたいな。自分の生きる一本道を貫こうと思いました。それで会う人は少なくなったんですけど、でも今すごい幸せだし、1人の時間が一番多かった1年だったんですけど、一番楽しかったです。それはいつか死ぬから、今やるしかないと思って。それは格闘技のせいもあると思うんですけど、自分はこの歳でここまで自分の哲学を持てたのが、今後負けねえぞってポイントなのかもしれないですね。

――ある種の覚悟が出来たみたいな感じですか?

平本選手 そうですね。16歳でキックボクシングでデビューして、全部を格闘技に集中できていない自分もいたんですね。そういう自分が好きじゃないなと思いながらやってたんですけど、でもそういうのってきっかけがないと気づかないものですよね。つまんないプライドですよね。K-1で培ったプライドとかもRIZINのデビュー戦で一気にぶっ壊されて自己破壊できたというか。今この気持ちを手に入れられた自分が一番好きです。

――記者会見でも「自己破壊」とおっしゃってましたね。

平本選手 今は、つまらない自分がいないんですよ。ホントに自分が好きだし、それは毎日努力している自分が好きなんですよ。変態なのかもしれないですけど(笑)。

言葉に不思議な説得力を持つ格闘家・平本蓮。

――「ドM」とか言っていました。

平本選手 スパーリングとか試合は殺してやるって気持ちで戦うんですけど、自分の力の極限まで突き詰めるのが楽しいんですよね。自分の可能性がどこまであるのかシンプルに気になるじゃないですか。僕は格闘技の才能はあると思うし、練習しててグラップリングが強くなっている自信があるんですよ。それも中途半端にやって負けちゃうのは嫌なんですよ。
この先、本気でやって負けるのは別に良いと思うんですよ。もちろん勝ちますけど。そう思えるように日頃から勝負なんですよね。日々節制とかも楽しいし。逆に筋肉つけて増量してるし。毎日100パーセントできたっていうか。80パーセントでも90パーセントでもなく、その日にできる100パーセントで1日を過ごせてるので、自分にとってすごくいい1年でした。