「RIZINゴールデンウィーク」が始まった 朝倉未来が「総合」に帰ってきた夜 

代々木体育館は超満員で埋まった。

チケット開始およそ数分で完売。近年の格闘技界では聞かない数字です。RIZIN LANDMARK5 at YOYOGI(以下RIZIN)が4月29日に開催。来場者数は13.000人以上(運営発表)。国立代々木体育館(以下・代々木体育館)のホームページでの収容人数は「12,898席(最大12,934席)」ですから超満員という事になります。

ダブルメインの牛久絢太郎選手VS朝倉未来、平本蓮VS斎藤裕の2試合という、PRIDE時代から格闘技ファンならずとも例えばブレイキングダウンから入ってきたファンにとっても垂涎のカードを用意。

実際、会場では男女ともに若く女性ファンも多く見られました。K-1、PRIDE時代では見られなかった光景です。というのも、K-1時代に代々木体育館に観に行った際は、大変ガラの悪い「格闘技かじってます」みたいな男性が多かったのを記憶しています。ファンの質が変わったのであれば、今後の格闘技界の向上にとって、大きいと思います。無党派層を取り込むからです。

試合結果や技術解説などは各媒体や現役・元格闘家の皆さんが解説しているので、ここではあまり触れません。一編集者(UFC第1回からのファン。初代タイガーマスクからのファン)の「RIZIN取材後記」とでも読んでください。
会場前の代々木体育館には「RIZINのTシャツ」を来たファンが目立ちます。ふと耳を澄ますと関西弁も聞こえ、全国からファンが代々木に集まったのだなと実感しました。

 

●変貌した朝倉未来選手のスタイル・原点回帰

ダブルメインの試合結果は既報の通り、牛久絢太郎選手vs朝倉未来選手は朝倉選手の判定勝ち。平本蓮選手vs斎藤裕選手は斎藤選手の判定勝ちで決着しました。

朝倉選手に一番影響の大きかった試合をインタビューで聞いたことがあります。すると、「RIZINデビュー戦の日沖発戦」と即答しました。日沖戦。朝倉選手の髪の毛はまだ金髪で、初参戦ということもあり、ギラギラとした挑戦者の目をしていた若武者のような面構えでした。

「誰にも媚びない」総合格闘家 朝倉未来選手(YouTuber) 格闘技界は朝倉未来・海兄弟を中心に回り始めた TABLO 

この時はオーソドックス(右構え)でしたが、元修斗王者日沖選手に臆せず、プレッシャーをかけていきました。結果、左ハイキック(軌道はミドル?)でKO勝ち。格上の相手に挑戦する姿勢がファンの共感を呼びました。その、前に出るプレッシャーが鳴りをひそめ、目が良過ぎるせいかカウンター待ちになっていた時期がありました。斎藤裕選手と初代RIZINフェザー級のベルトを賭けて戦った試合などがそうだったと思います。

今回はゴングが鳴ったと同時に中央を取り、牛久選手にプレッシャーをかけていきました。因みに、朝倉選手は実際に会うと分かるのですが画面で見るよりもはるかに大きく感じます。ライト級でも良いくらいの身体の厚みがあるのです。通常体重に戻った朝倉選手を牛久選手はより大きく、だからこそ牛久選手が下がってしまったし、気圧されたようにも見えました。

そして、デビュー戦の時のように飛び込んでのボディフック、ミドル、ハイキック。カウンターで相手を倒している朝倉選手の印象ですが、前に出て、武器である「身体の強さ」を利用した思い切った攻撃が持ち味でもある事を忘れてはいけません。事実、日沖戦、リオン武戦は前に出てキックと膝でKOしています。