なぜ騙される? 架空の投資会社「SENER(セナー)」が数十億円の詐欺被害を出した裁判を傍聴しました

彼に与えられていた仕事は「説明会」という名目で開催されていたセミナーの司会者でした。彼が以前に勤めていた会社で知り合った柴田に「月50万円出すから手伝ってほしい」と頼まれセナーに関わるようになったのです。

説明会ではセナー社はアメリカのワシントンに本社を構える資産運用会社で、セナーに投資すれば年利20%の配当金が入ってくる、と説明されていました。また誰か出資者を紹介するとその人間の出資した額の一部が紹介料として貰え、紹介した人数に応じて組織内でのランクがアップしていく仕組みでした。

このセミナーは情報をネットには上げずおおっぴらには行われていませんでした。セミナー参加者は「セナーが本格的に日本で事業を展開するまで誰でも参加できるようなオープンなものにはしないでください」と言われていたようです。クチコミや人づてでセナーは拡がり、説明会は約3ヶ月で146回開催されました。

ある日突然、音信不通に

セナーへの投資は円やドルではなく『セナードル』という独自の通貨で行われていました。投資をするためには円やドルをセナードルに両替しなければなりません。交換レートは1セナードル約120円でした。説明会後には次々とセナードルを買って投資する者があらわれました。

一部、実例を挙げます。

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