幻冬舎が闇商売を開始か? 選考委員のぶみ氏の「子育て絵本大賞」に応募した名も無い作家にかかってきた電話
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原稿のご応募 ありがとうございます
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以下のとおり応募を受付けました。
担当者が確認後、追ってご連絡します。
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折り返しメールで確認してみると今年の5月のことですね。「追ってご連絡」がいつになるのかと首を長くして待つこと数ヶ月……正直この時点ではもう「絵本大賞」のことは忘れていたんです。まあ連絡ないし落ちたわな、と。
動きがあったのは10月下旬。見知らぬ番号から着信がありました。サギの勧誘を避けるためいつものようにまずは一旦スルーして、番号をググってみると「株式会社幻冬舎ルネッサンス新社」。
天下の幻冬舎様がなぜ底辺の僕に……? って、絵本! 絵本の幻冬舎さんじゃあないですか! これは受賞の連絡に違いない!
はやる気持ちを抑えつつ折り返し。編集部のAさんは若っぽい男性の声です。
「どうもはじめまして、幻冬舎のAです。もうずいぶんお時間が経ってしまったんですが、絵本大賞のことは覚えていらっしゃいますか?」
時間かけて書いた作品を応募して覚えてないバカはいません。
「はいもちろん。覚えていますよ」
胸のドキドキが悟られないよう、できる限り冷静な声音で答えます。
「ではもう結果はご覧になられました?」
「えっ、結果? 見てないですけど……。あーもう発表されてたんですね。うわー、やっぱり落選ですか。ショック!」
結果は7月下旬に発表されていました。「追ってご連絡」で知らされるのかと思っていたのに。ショックです。普通に。
「そうなんです。でもですね、これは選考過程の話ですが、山本さんの作品は編集部で非常に評価が高かったんですよ。応募していただいた作品、覚えていますか?」
「はいもちろん。覚えていますよ」
時間かけて書いて応募した作品を覚えてないバカはいません。
「この作品のね、山本さんのものの見方といいますか、視点といいますか。面白いなと」
「はあ」
「弊社としてはこの厳しい出版不況のなかにあって、あたらしい出版の形も考えていかなければならないと。そこで名前が上がったのが山本さんなんですね。今回の選考では残念ながら入賞しなかったですけれども、もう一度考えてみたいとの声が編集部内で上がったと。こういったことはなかなかないですよ。異例のことです」
「あっ…(察し)」