幻冬舎が闇商売を開始か? 選考委員のぶみ氏の「子育て絵本大賞」に応募した名も無い作家にかかってきた電話

「そこで山本さんに一度お会いしてね、いろいろお話させていただきたいんですが、それでまあ単刀直入に言いますとこれ、出版のオファーです。うちで出版しませんかと」

Aさんも僕も話が早いです。

「あー、それ自費出版ってことですよね」

ここでAさん、突如キレ気味になります。

「自費? 自費とおっしゃいますけども、今はもう、出版される本はほとんど、ぜんぶ自費ですよ。西野さんだってそうですし

西野さんてあの西野さんのことでしょうか? 一応は出版業界の端くれにいるんですが、書籍のほとんどが自費出版とは知りませんでした。

「出版費用はもちろんお支払いいただきますが、それによってこの作品の著作権をあなたのものにすることができるんですよ!」

えっ! お金を払えば自分が書いた作品の著作権が自分のものになる! すごい! ちなみに「絵本大賞」の応募要項には、このように書かれています。

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作品の権利

応募者が作品に関する諸権利を有する、自作未発表の作品に限ります。

大賞作品の出版権および二次利用権は、株式会社幻冬舎ルネッサンス新社に帰属するものとします。

書籍化等発表の際には、作品を編集させていただくことがあります。

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Aさんが言いたかったのは「出版権および二次利用権」のことかと思いますけども、そもそも「大賞作品」に関してのことでは? 僕の作品は落ちましたよ?

そして著作権と出版権は完全に別物です。僕はあの作品の著作権を放棄していません。

「自費出版といったって幻冬舎の名前で出すわけですから、こういったお話をさせていただく方は厳選しています。下手な作品を世に出したら、弊社の作家さん……東野さんやホリエモンさん、そして西野さんの名前にも傷がつきますし

(なんでこの人タレントの名前しか出さないんだろう……って東野って芸人の? それとも東野圭吾? この並びで?)

「山本さんの作品、なかなかよく書けていますよ。いくつか新作を書いてもらって、短編集のような形でまとめるといいかもしれませんね」

なんかやたら褒めちぎりますが、ここまでAさんは僕の作品のタイトルを一度も口にしていません。内容についての具体的な感想、指摘もありません。こいつ、読んでねえな?

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