博士が生放送中に番組を降板した「真」の理由 『水道橋博士×町山智浩 がメッタ斬りトーク』(3)

町山:維新の橋下さんが大阪で熱烈な支持を得たのは、たかじんさんの番組の裏にいる、Aが、最初から企んでいたことだったと?

博士:いや、企んだというよりは、この人自体は、行動原理に芯がなく中身が無い、ただのノンポリだと思う。何かと右顧左眄するけど、とにかく声がデカイだけの「進軍ラッパ」だと思う。

町山:ノンポリだけど、自分がテレビを通して大衆を操れるようになったので、やってみたかったんだろうねえ。エリア・カザンの映画『群衆の中の一つの顔』はまさにそんな話だった。

博士:制作会社の社長になって、業界の下っ端だったのが、高視聴率を叩き出して、段々と、局よりも自分の方が偉くなっていく。その中で、自分自身は全く無思想なのに、その影響力を誇示するためにも政治討論番組をやっていく。自分は一切、前に出ることなくアジテーターを雇って、強い、刺激的な言葉を代弁させている。

町山:それが地方選挙に実際に影響を与えたわけですよね。次に彼らは、国政に影響を与えようとしてて、東京に乗り込んでDHCと一緒にフェイク・ニュース番組『ニュース女子』を作ってるんですね。

博士:俺が主張しているのは、たかじんさんはそんな意志はなかったはずだって。だって自分の放送をかたくなに東京でオンエアさせなかった人じゃない。大阪の芸人であることをこだわったはずなのに、そうやって東京まで行って、エセ討論番組作って、しかも、その内容は放送界的に大事故が起きてるじゃないですか。
沖縄基地問題のことに関してもね、賛否両論はあっても実際に大いに問題になり、BPOで審査されている。にもかかわらず、本人は全く表に出てこないんですよ。こんな無責任者がいる?

町山:完全に黒幕なんですね。『藝人春秋2』では「A氏」としか書かれてないですけど、今やってるのは『ニュース女子』と『虎ノ門ニュース』?

博士:それもDHCがやっている、朝の帯番組。うちの事務所の居島一平が司会してる。これも最初は左派のコメンテーターもいたのに、何時の間にか全コメンテーターが右側の番組になった。
この番組の責任者が、もともと「ボーイズ」の関連会社で、殉愛問題に深く関わっている人。『たかじんNOマネー』では頭にバンダナ巻いて、青山繁晴さん番だった人だけど、何時の間にか背広を着た、おエライさんでトップになっていた。

町山:DHCがやってるメディアにA氏という仕掛け人がいるんだという事実は、殆ど知られていないですね。(客席に)知ってた人? いないね。
この本が訴訟になるかもしれないっていうのは、そのAの部分なんだけど。でもAが具体的に何か違法行為をしたと指摘しているわけじゃないからね。

博士:ボクは、普段から言葉遣いは配慮していて、私生活でも表現として「死ね」っていうのはジョークでも使わないんだけど、ブログやtwitterで言ってるかな? って検索かけて調べたけど、まず言わない。普段も言わない。
でも下巻は「死ぬのは奴らだ」って副題で書いてて、相手を特定しているから、名誉毀損レベルだと思われるだろう。ただ、そこまで俺に踏み込ませた理由はなんだっていうのを本人に問うてみたい。俺をして、ここまで思い詰め書かせたあなたは、無自覚で、無思想で、無教養で、しかもマスコミで無責任に、ここまでやってるんじゃないか? これには殉愛問題とも絡むけど。

町山:百田尚樹さんの著書『殉愛』ね。