博士が生放送中に番組を降板した「真」の理由 『水道橋博士×町山智浩 がメッタ斬りトーク』(3)
博士:あれは裁判にもなったけど、まずノンフィクションの流儀を踏みにじったってことが許せないんですよ。
町山:百田さん、双方に取材してないんだからね。
博士:両論併記のノンフィクションの手法を踏みにじって、しかも、それを「おかしいんじゃないか?」って疑義を持った読者に対して、百田尚樹は、本当にネットの書き込みに「法廷に引きずり出す」って書いて、「人間のクズ」って罵倒を読者に対して書き続けた人だから。それは俺は心から軽蔑するよ。
読者に対してそう言ったっていうこと。この事実を認めて、それを謝らない出版元の幻冬舎、見城徹もおかしい。見城徹は編集者としてはボクはものすごく影響を受けた人だけど、今はもうおかしい。日本の芸能界、出版界で誰も面と向かって抗議していないのもおかしい。見城徹さんの今の偏向や政商ぶりに対して、あと、百田尚樹の『殉愛』出版に関して、あれが欠陥あるノンフィクションで、裁判になるほどの「事故」であるっていうことを認めない。見城徹は自分の『755』っていうSNSで言い訳を書いてたけど削除した。証拠隠滅した。
町山:見城さんすごい人だからね~。
博士:もともと志のある編集者だった。それがカネと権力を得て「怪物」になっていくっていうとき、何故、若者の志をなぜ奪うの? あなたは今まで若者の無垢な志を問うてきた人じゃない。青雲の志、意気を称揚したじゃないか。それが、出版は金になるものだけを作れっていうことなの? 金になる作家は守れ! 確かに作家を守れっていうのは、それも編集者の流儀なんだけど。血の契りを結んだら絶対に守り通すっていう流儀を全うしている、それは分かるけど……。でもだめだ! なぜ、だめかというと、多くの出版人が血と汗を流して作ったノンフィクションの流儀っていうのは、もっともっと、長い年月を経て培ってきた、それより深くて、広義で大事なものじゃない。
検証本の『百田尚樹「殉愛」の真実』(宝島社)で名うてのルポライターが再調査した抗議に、面と向かって、ひとつひとつ答えて、見城さんも前に出て説明してくれよ。そういう姿を見せてくれよ。見城さんも芸能界・政界の黒幕気取りでさ、テレビで超高層タワーマンションで、自分の贅の限りを尽くした部屋を見せびらかして、高級ワインをきこしめす。そんなんで悦に入っちゃって、もうがっかりだよ!! で、安倍政権をバックアップするためには、これだけ示威行為をやるんだって、老醜極まりないよ。
町山:「ボーイズ」のA氏と同じで、見城徹は力を持っちゃったから。俺、政治だって動かせるかもって思ったんだろうね。で、安倍総理大臣を自分の番組(『徹の部屋』2017年10月8日放送)に呼んで、ヨイショしたわけだけど、あれもインターネットTVだったから許されてるんですよね、AbemaTVだから。
テレビじゃ絶対できないですよ。不偏不党の原則に反してるから。DHCもそうだけど、今インターネットのテレビって政治プロパガンダの嵐になってるんだ。放送法の管轄外だから。
博士:ネット番組の政治プロパガンダが法律的に大丈夫だからやるんだっていうのは、それは最低限いいですよ。認めますよ。それぞれ異論反論があって、公に見せれるっていうのは良い。それでも、AbemaTVでやった番組は、マスコミ側にいる人、ジャーナリズム側が、安倍総理の顔を見て「ダンディでカッコイイ」「すごくハンサムで内面がにじみ出ている」「信義に厚く正直で嘘をつかない」っとかさ、いきなり、おべんちゃらを言うんだもの。何なの、あれ?
町山:あれね。見城徹が「安倍さんのお顔が~」って顔を褒める。それ、太鼓持ちとしても最低レベルだよね。