宿敵・井筒監督に新幹線内で遭遇した三谷幸喜 『水道橋博士×町山智浩 がメッタ斬りトーク』(4)
(下巻 P211)
例えば、石原慎太郎は、因縁浅からぬ大橋巨泉を東京駅のホームで見かけ、日頃からその言動が気に入らなかったため、「新幹線の車中で挟み撃ちにしよう」と同行した長男・伸晃に持ちかけたが未遂に終わったというエピソードを、自著『老いてこそ人生』の中で、次のように綴っている。
しばらくして東京駅で出会った、同じ新幹線に乗るはずだった、ある、なんとも卑怯で汚いテレビタレントを車中で殴るつもりで長男と挟み撃ちにするはずだったのを、後でわかったが、息子の方が相手を見失ったふりをして逃がしてしまった。
「殴るはずだった……」はマッチョな作家の自慢話の常套句だ。
しかし、何度読み返しても、何も息子に加勢を頼らずとも、ひとりでやれば良いのに……と思う。
博士:しかし、この本は、別テーマで言えば、新幹線車内って、いろんなことが起きるって本でもあるんだけど。さっきのデーブ・スペクターの『発車します!』事件も、この三谷さんと戦いも、そんなことが起こるのか? こんな現実ってあるんだって思って。
それで、この本の最後の登場人物に泰葉がいるんだよね。あの三平の娘の泰葉が。俺は彼女が芸能界に復帰してからは病気に同情してて、応援して寄り添ってたから、その当時、最後の章、彼女から、談志師匠の芝浜の話を聞いて書いてたの。
でも、旦那だった小朝の話も当然、略歴としては書くじゃない? 今年(2017)の7月ですよ。離婚会見の「金髪豚野郎」ってところを、ちょうど新幹線の中でパソコンで書いてて、ふっと見たら品川で、その金髪豚野郎が乗ってきたんですよ。
町山:小朝さんですね!
(「金髪豚野郎」との遭遇後は? まだまだ続く)
(2017年11月30日〈文春トークライブ 第20回〉
町山智浩×水道橋博士『言霊USA』vs.『藝人春秋』より)
石原、猪瀬、青山、生島、落合…60歳超えてケンカ自慢するおじさん 『水道橋博士×町山智浩 がメッタ斬りトーク』(5) | TABLO