宿敵・井筒監督に新幹線内で遭遇した三谷幸喜 『水道橋博士×町山智浩 がメッタ斬りトーク』(4)

(前回より)
博士が生放送中に番組を降板した「真」の理由 『水道橋博士×町山智浩 がメッタ斬りトーク』(3) | TABLO

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「石原慎太郎は嫌いなんだけど色んなものを持っている」(町山智浩)

町山:『藝人春秋2』はそういう本ですね。もう(宣伝で冒頭にいた)オリコンの人、帰っちゃったね。今やっと、オリコンさんが記事で書くべきことをしゃべったのに。

博士:みんな、面倒くさいんですよ、訴訟って。裁判するぞ!って言われたら、最終的に忖度して、黙らされる。

町山:面倒くさいんだろうね。

博士:そう言えば、町山さんこの本を、ハイコンテクスト過ぎるって言ってたね。

町山:だって背景の知識がないと分からないから。

博士:それは書いていることの文脈の抽象度が高すぎるってこと?

町山:いや、だからハイコンテクスト。それがネタであることさえ、普通の人には分からない。たとえば橋下徹が狂言、伝統芸能の狂言ですよ。補助金カットの問題に対して踏み込んだときも……。こんな風に……。

(上巻 P43)
 例えば、2002年5月12日放送のTBS『サンデー・ジャポン』の中で、狂言の家元・和泉元彌騒動を取り上げた際、彼が「このご時世で能のファンです、狂言のファンですって言ったら、なんか恥ずかしいじゃないですか、変質者に思われるじゃないですか……と、とんでもない”狂言”を言ってのけたことを「覚えている」人もいる。
 本当に覚えている人がいるのか? そう! いるのだ! それはボクだ!
 テレビを見ていてもスルーできない発言は、そのまま心に引っかかり、録画を残し、メモに取る、だから、ボクは違和感として覚えて、その人の性格、輪郭を強く心に刻印してしまうのだ。
 そんな軽率極まる無教養な発言を以前に残している人が、伝統芸能の補助金カットの正当性を語ったとしても、根っこにある本人の偏見だらけの「伝統芸能嫌い」が透けて見えると断ずる人がいるのは当然だろう。

町山:ねー。博士は「過去の発言に遡り、その矛盾を突くんですよ。でも、そんなことは誰も覚えてないわけですよ。全部覚えてるんですよ、この人、すごいですよ。

博士:ボク、橋下徹は有能な政治家だと思っているんですよ。でも、確かに天才的に弁が立ち、最強のデイベーターだけど、その発言を過去に突き合わせると矛盾点だらけなの。で、番組でそこを突くと、そこは返さず、新しい盤面を作って話しだして、問題点をそらしていく。それで相手は打ち負かされる。
それは彼のケンカに勝つための話法なんだ。弁護士時代、たくさんその技術の本も書いているけど。
そうさせないためには、番組共演より、文字で証拠を示し、きっちり問題点を明記する。 それはボクが全部テープに録ってるから出来るんだ。気になったやつはとりあえず全部撮る。『SPIDER』っていう全録機を持っている。見ているお客さんには分からないと思うけどテレビの全番組を録画するレコーダーをずっと昔から持ってて、今もう3台あるけど。ボクが気になる人の番組は全部残している。

町山:『藝人春秋2』の下巻では、石原慎太郎の発言の矛盾に突っ込んでいくんですけど、それも執拗なんですよ。慎太郎がずっと言ってたことがどうも事実と違うと。