この男の試合にハズレ無し! YA‐MAN選手ロングインタビュー 6.19「THE MATCH」の「裏メイン」の呼び声高し

――なるほど。マイク・タイソンなんか貧困でイジメられっ子だったっていうストーリーがあって、改めて試合を見ると違いますよね。

YA-MAN選手 ホントそのとおりでドラマなんですよ。エンタメなんで。そのなかに競技があるんですよ。競技と娯楽、エンタメが両立してるのがキックボクシングだと思うんで。ボクシングはどちらかというと競技寄りじゃないですか、強いヤツが偉い。でも、キックとか総合はストーリーじゃないですか、朝倉未来選手(総合格闘家)にしろ、少年院から出て総合で成り上がってあそこまでいって。そのストーリーがあるから「俺でもなれる」って見てる人は思いますし、勇気をもらうためにお金を払って観に来てくれるんですよ。

――そういうストーリーが、さらに人気につながるところがありますね。

YA-MAN選手 だからこそ、私生活からプロじゃないといけないと思ってるんですよ。自分の言動や行動のひとつひとつ、だからダサい格好で歩けないですし。「YA-MANメディアではいい格好してるけど街で見かけたら全身安物だったよ」とかなるじゃないですか(笑)。

――海外の選手は私服もカッコイイですよね。

YA-MAN選手 多いです。そういうUFCとかの選手を見習ってやっていかないとプロじゃないっすね。

――その、ストーリーという事で言うと中村戦後のマイクはビックリしました。「俺のお父さんは薬物中毒で刑務所に入って」って、そんなパワーワード出す?みたいな。

YA-MAN選手 あの試合は中村寛という有名で強い選手に勝ったという自分の実力を証明した試合だと思うんですよ。自分のお母さんはすごく苦労してるんで、お父さんが薬物中毒で離婚して。お父さんの実家がお金持ちだったんで養育費を3000万ぐらいもらって、その養育費を母方のおじいちゃんとおばあちゃんに預けてたら、おじいちゃんとおばあちゃんが夜逃げしたっていう。だから苦労してるんで。

――YA-MAN選手にはそういったストーリーがあるんですよね。ファンのみなさんはそこに想いを投影しますよね。

YA-MAN選手 自分みたいな底辺のヤツでも努力すればこうやって成り上がれるんだっていうのを伝えていきたいなっていうのが、今自分がキックボクシングをやってる原動力なんで。

――そこなんですね。プロなら観てる人の琴線に触れるものが自分の試合で出すという。

YA-MAN選手 ですね。勝ち負けよりも面白い試合、自分の生い立ちとかストーリーで今、苦しい思いをしてる人に勇気を与えていければという思いです。

――YA-MAN選手はそういう人生を歩いてるからこそ、人の気持ちが分かるところがあるんでしょうか。

YA-MAN選手 今、1人親世帯が多くなってるじゃないですか。子供たちの寂しい思いも分かります。裕福な家庭ではなかったので、そのお母さんの気持ちも、自分は体験してないですけど分かるつもりではいるんで。そういう人たちに何か与えられたらとは思いますね。

――だからなのか、YA-MAN選手の試合って観てて「どこか違う」んですよね。

YA-MAN選手 ハハハハ、ホントですか?

――初めて見て、一気に引き込まれました。天心選手がエキサイトするはずです。僕だけじゃなく会場のお客さんも、でしょう。あと、これは僕個人の取材体験から言うと、面構えがいかにも埼玉の不良少年という感じです(苦笑)。

YA-MAN選手 ありがとうございます(笑)。

――技術が上手い選手はいっぱいいますけど、人間味のあるファイトというか、そういう感じがするんですよね。アメリカでは「ピープルズチャンピオン」という言い方をしますが、庶民から出てきた「俺たちのチャンピオン」というざっくりとした意味です。YA-MAN選手がベルトを取ったらそういう呼ばれ方をするかも知れないですね。

YA-MAN選手 自分自身、才能がある選手ではないんで。才能がなくてもここまでできるんだっていうことを伝えていきたいですね。自分は他の選手と比べて親近感あると思うんですよ。天心とかって親近感ないじゃないですか、神童ですから(笑)。僕は「え、YA-MANでもなれるんだったら俺でもイケんじゃね?」って思ってもらえたらすごくうれしいんですよ。

――「YA-MAN」という名前は本名の「杉山」からきてるんですか?

YA-MAN選手 そうです。僕がこのジムに入った日に会長が、「おまえは今日からYA-MANだ」って。

――すごく、良いネーミングですよね。

YA-MAN選手 はい、このおかげで覚えてもらえて、みんなが「YA-MAN」って呼んでくれるので(笑)。

――そう言えば、天心選手とのコラボYouTubeも観たんですけど、路上に座っていたYA-MAN選手を見て「あれって野性のYA-MANじゃね?」っていうフレーズがずっと残っていて。「YA-MAN」というゲームのキャラみたいになっていましたね。

YA-MAN ハハハハハハ! ありましたね。あれは天心が面白かったですね。

 

●「金太郎選手とやったら面白いと思いました」

――で、6月19日の大会は天心vs武尊のビッグイベントで最前列が300万円っていうのが話題になっていますけど、興味ない人でもテレビを付けたら思わず、見入ってしまう。そういう試合がいいですよね。

YA-MAN選手 そうですね、まったく興味ない人でも観ると思うんで。ここでキックが衰退するか、さらに伸びるか、業界の分かれどころだと思うんですよ。なのでアンダーカードの自分たちが存在を知らしめないといけないんですよ。

――地上波でやりますからね。

YA-MAN選手 地上波はメインだけですが、もしかしたら録画放送があるかもしれないですけど、基本はABEMAのPPVだけって聞いてます。

――出場されますよね。

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