赤い樵 「樹齢60年ほどの銀杏の大木を伐採してから起きた恐怖体験」|川奈まり子の奇譚蒐集二八

シングルマザーで、キャバクラに勤めているのだという。少し話すうちに、子どもは小学1年生になるが、夜、面倒をみてやることが出来ず、子の父親はヤクザで刑務所に入っているし、昔の悪い仲間たちとの付き合いも切れないし、勤めも続かず店を転々としてしまい、今後のことを考えると悩みが深くなるばかりだ……と、彼女は政宗さんに打ち明けた。

政宗さんの弟が、いわゆるチーマーとして不良ぶっていた頃からの知り合いだそうだが、彼女が根から悪い人間ではないことは、目を見ればわかった。

異性として惹かれるところはなく、妹のような感じがして、放ってはおけないと思い、その場で「今後は助けるから遠慮せずに頼れ」と彼女に言った。その後で、「そういえば……」と、例のお告げを思い出して、今が3年後だと気がついた。

「その女性とは今も連絡を取り合っていますが、恋愛関係になったことはありません。きょうだいになったつもりで、助けてあげただけです。初めの頃は、子どもに夕ご飯を食べさせて寝かしつけてあげて、その後も何かと……。子どものためにちゃんと生きろと彼女を諭して……今では昼の仕事に就いていて、子どもは高校生ですよ」

取材中に私は、かなり不躾な質問をあえてすることがある。そのときも政宗さんに、こんなことを訊ねた。