赤い樵 「樹齢60年ほどの銀杏の大木を伐採してから起きた恐怖体験」|川奈まり子の奇譚蒐集二八

「……虐げられている人たちに遭遇しますから、迷わずに心を尽くして助けてあげなさい。また、今から3年後にひとりで子どもを抱えて苦労している女性があなたの前に現れますが、その面倒をみてあげなさい。この2つだけを守れば、あなたは一生お金に困らないでしょう」

その日を境に、政宗さんはみるみる回復した。

そしてそれから半年後、たまたま町中で、顔に痣を作ったり、頬を腫らしたりしている5人ぐらいの子どもの集団と遭遇した。

気になって後をつけていったところ、彼らは児童福祉施設に入っていった。親などに虐待を受けて施設に入所している子どもたちだったのだ。

おばあさんのお告げを憶えていたので、政宗さんはさっそく貯金をおろしてその施設に寄付をした。

その頃から造園会社の景気が上向いて、手取りが増えだしたので、以降3年間、100万円ずつそこに寄付しつづけた。

政宗さんの仕事は、ますますうまくいった。大きな仕事を任されるようになり、年を追うごとに面白いように収入が増えていった。

25歳のときに、弟からある女性を紹介された。